最終更新: (法務局の公表資料にもとづく)
法定相続情報一覧図とは——無料でできる手続き・取得方法・有効期限をやさしく解説
親などが亡くなって相続の手続きを始めると、銀行・法務局・税務署・年金事務所と、行く先々で戸籍謄本の束を何度も出し直すことになりがちです。法定相続情報一覧図は、この負担を軽くするための公的な仕組みです。相続関係を一枚にまとめた図に法務局(登記所)が認証文を付し、その写しが戸籍の束の代わりになります。この記事では、「そもそも何なのか」「無料なのか」「どんな手続きに使えるのか」「有効期限はあるのか」を、法務局の公式案内にもとづいて順番に整理します。取得の手順や必要書類、書き方は、関連記事とツールにつなげて詳しく確認できます。
結論——相続手続きの「戸籍の束」を1枚にまとめる、無料の公的証明
法定相続情報一覧図とは、被相続人と相続人の関係を一枚にまとめた図に、法務局(登記所)の登記官が認証文を付けて交付する公的な証明書です。申出のときに被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本などの束を提出すると、登記官が確認したうえで認証文付きの写しを交付します。この写しは、相続登記・預貯金の払戻し・相続税の申告・年金の手続きなどで、戸籍の束の代わりに使えます。交付は無料で、提出した一覧図は登記所で5年間保管され、その間は再交付も受けられます。平成29年(2017年)5月に始まった制度です。
出典: 法務局「法定相続情報証明制度について」/「よくあるご質問」。取得日2026-07-23。本ページは制度の一般的な解説で、個別の手続きの可否や必要書類は状況により異なります。
法定相続情報一覧図とは?——仕組みを図解
相続の手続きでは、「誰が相続人か」を証明するために、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍・除籍謄本と、相続人全員の戸籍が必要になります。この束はしばしば分厚くなり、手続きの窓口ごとに提出しては返してもらう、という手間がかかります。
法定相続情報証明制度は、この束を一度だけ登記所に提出し、相続関係をまとめた法定相続情報一覧図を一緒に出すと、登記官が内容を確認して認証文を付した一覧図の写しを交付してくれる仕組みです。以降は、この写し(認証文付き)を戸籍の束の代わりに各窓口へ提出できます。必要な通数を最初にまとめてもらえば、複数の手続きを同時並行で進めやすくなります。
一覧図には、被相続人の氏名・最後の住所・生年月日・死亡年月日と、相続人それぞれの氏名・生年月日・続柄(住所は任意)を記載します。相続人の範囲は、次の順位で決まります。
| 立場 | 相続人になるか |
|---|---|
| 配偶者 | 常に相続人になる |
| 第1順位: 子 | 子が先に死亡していれば孫・ひ孫(代襲相続) |
| 第2順位: 父母(直系尊属) | 子がいないとき。父母が死亡していれば祖父母 |
| 第3順位: 兄弟姉妹 | 子も父母もいないとき。兄弟姉妹が死亡していれば甥・姪 |
上位の順位の相続人がいる場合、下位の順位の人は相続人になりません。相続分そのものの割合は法定相続分とは・割合の早見表で解説しています。出典: 法務局「よくあるご質問」(相続人の範囲)。取得日2026-07-23。
交付は無料——ただし戸籍の取得手数料と郵送料は別
法定相続情報証明制度は、無料で利用できます。一覧図の写しの交付そのものに手数料はかかりません。必要な通数を何通交付してもらっても、写しの発行手数料は無料です。
ただし、無料なのは「一覧図の写しの交付」の部分です。申出のために集める戸籍謄本・除籍謄本などを市区町村で取得する際の手数料は別途かかり、郵送で申出や交付を受ける場合は郵送料も必要です。これらは制度そのものの費用ではなく、書類集めや郵送にかかる実費です。
出典: 法務局「よくあるご質問」(手数料はかかりますか?→本制度は無料でご利用いただけます)。取得日2026-07-23。
どんな手続きに使える?——相続登記・預貯金・相続税・年金
法務局の案内によると、法定相続情報一覧図の写しは、次のような相続手続きで戸籍の束の代わりに使えます。
- 相続登記の申請(不動産の名義変更)
- 被相続人名義の預金の払戻し手続(銀行・ゆうちょ等)
- 相続税の申告
- 被相続人の死亡に起因する年金等の手続
このほかにも、証券や保険など、相続に関する各種の手続きで受け付けてもらえる場合があります。一覧図があると、複数の不動産の相続登記や、複数の窓口を回る手続きで、戸籍の束を何度も出し直さずに済むのが大きな利点です。だからこそ、一覧図は相続手続き全体の「起点」となる書類といえます。
相続登記は自分でやる手順・必要書類、預貯金は預貯金の相続手続き、全体の流れは相続手続きの順番で確認できます。出典: 法務局「法定相続情報証明制度について」(利用できる手続の例)。取得日2026-07-23。なお、実際に受け付けてもらえるかは各提出先にご確認ください。
取得の流れ——申出から交付まで(本人でも申出できます)
法定相続情報一覧図は、相続人本人が自分で申出できます。おおまかな流れは次のとおりです。
- STEP1 戸除籍謄本を集める: 被相続人の出生から死亡までの連続した戸除籍謄本と、相続人全員の戸籍を集めます。
- STEP2 一覧図を作る: 相続関係を一枚にまとめた法定相続情報一覧図を作成します(法務局が様式と記載例を公開しています)。
- STEP3 申出書を書く: 交付を受けるための申出書に必要事項を記入します。
- STEP4 登記所へ申出: 集めた書類・一覧図・申出書を、選んだ登記所へ提出します(窓口・郵送)。
- STEP5 確認・交付: 登記官が内容を確認し、認証文付きの一覧図の写しを交付します。提出した戸除籍謄本は、写しの交付と一緒に返却されます。
申出できる登記所は、次のいずれかから選べます。①被相続人の本籍地(死亡時の本籍)、②被相続人の最後の住所地、③申出人の住所地、④被相続人名義の不動産の所在地を管轄する登記所です。
必要書類の一覧は法定相続情報一覧図の必要書類、一覧図の作り方は自分で取得する方法・書き方で詳しく解説しています。出典: 法務局「法定相続情報証明制度について/具体的な手続について」/「よくあるご質問」。取得日2026-07-23。
有効期限はある?——5年間の再交付と、提出先の運用
「一覧図の写しに有効期限はあるの?」という疑問はよくあります。法務局が公表する制度案内には、一覧図の写しそのものの有効期限についての定めは示されていません。一方で、実際に提出する先の金融機関や税務署などが、独自に有効期間(たとえば発行後一定期間以内のもの)を求めることがあります。使う前に、提出先の求める条件を確認しておくと安心です。
また、提出した法定相続情報一覧図は、登記所で5年間(申出日の翌年から起算)保管されます。この間は、追加で写しが必要になったときに再交付を受けることができます。最初に多めに交付を受けておくか、足りなくなったら再交付を利用する、という進め方ができます。
出典: 法務局「よくあるご質問」(再交付は可能・5年間保管)。取得日2026-07-23。提出先が独自に定める有効期間は、各提出先へご確認ください。
作る意味は?——一覧図が向いているケース・そうでないケース
一覧図は便利ですが、すべての相続で必ず作る必要があるわけではありません。目安として整理すると次のとおりです。
| 状況 | 一覧図が役立ちやすい | 効果が小さいことも |
|---|---|---|
| 手続きの数 | 不動産の登記・預金・年金など複数 | 手続きが1つだけ |
| 不動産 | 複数の市区町村にある | なし・1か所のみ |
| 金融機関 | 複数の銀行・証券に口座 | 1行のみ |
手続きの窓口が多いほど、戸籍の束を出し直す回数が減り、一覧図の効果が大きくなります。逆に、提出先が1か所だけなら、戸籍謄本をそのまま提出しても手間は変わりません。自分の相続でどの手続きが必要になりそうかは、相続手続きの順番で全体像をつかんでから判断するとよいでしょう。
上表は一般的な目安です。取得日2026-07-23。
一次情報(出典)
出典(取得日 2026年7月23日):
- 法務局「法定相続情報証明制度について」(制度の概要・平成29年5月創設・無料で交付・相続登記/預金払戻し/相続税申告/年金等に利用可)
- 法務局「制度をご利用いただく方へ(具体的な手続について)」(申出先の登記所・保管5年・再交付・資格者代理人)
- 法務局「法定相続情報証明制度 よくあるご質問」(PDF)(無料・戸籍の返却・相続人の範囲・続柄・再交付5年保管)
よくある質問
- 法定相続情報一覧図とは何ですか?
- 亡くなった方(被相続人)と相続人の関係を一枚にまとめた図に、法務局(登記所)の登記官が認証文を付して交付する公的な証明書です。申出のときに被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本などの束を提出すると、登記官が内容を確認したうえで、認証文付きの一覧図の写しを交付します。この写しは、相続登記や預貯金の払戻し、相続税の申告、年金などの手続きで、戸籍謄本の束の代わりに使えます。平成29年(2017年)5月に始まった制度です。
- 法定相続情報一覧図の交付に手数料はかかりますか?
- 法定相続情報証明制度は無料で利用できます。一覧図の写しの交付そのものに手数料はかかりません。ただし、申出に必要な戸籍謄本・除籍謄本などを市区町村で取得する際には所定の手数料がかかり、郵送で申出や交付を受ける場合には郵送料が必要です。必要な通数を最初にまとめて申出すれば、複数の手続きで同時に使えるため効率的です。
- 法定相続情報一覧図はどんな手続きに使えますか?
- 法務局の案内によると、相続登記の申請手続のほか、被相続人名義の預金の払戻し手続、相続税の申告、被相続人の死亡に起因する年金等の手続など、さまざまな相続手続きで使えます。これまで手続きごとに戸籍謄本の束を何度も出し直していたところを、認証文付きの一覧図の写し1枚(必要な通数)で代えられるため、複数の窓口を回るときに負担が軽くなります。
- 法定相続情報一覧図の写しに有効期限はありますか?
- 法務局が公表する制度案内には、一覧図の写しそのものの有効期限についての定めは示されていません。一方で、提出先となる金融機関や税務署などが、独自に有効期間(たとえば発行後一定期間以内)を設けている場合があるため、実際に使う前に提出先へ確認すると安心です。なお、提出した一覧図は登記所で5年間(申出日の翌年から起算)保管され、その間は写しの再交付を受けることができます。
法定相続情報一覧図は相続手続きの起点になる書類です。次のステップとして、必要書類(必ず用意する書類・場合により必要な書類)と自分で取得する方法・一覧図の書き方を確認しましょう。申出に必要な戸籍の集め方は相続で必要な戸籍謄本の集め方、相続手続き全体の流れは相続手続きの順番、不動産の名義変更は相続登記を自分でやる手順、預貯金は預貯金の相続手続きもあわせてどうぞ。手続きを誰に相談すべきか迷ったら相続は誰に相談する?もご覧ください。