最終更新: (民法900条・法務省の公表資料に基づく)
法定相続分とは——相続割合をケース別に早わかり(配偶者・子・親・兄弟姉妹)
「親が亡くなったが、遺産は誰がどれだけもらえるのか」——その基準になるのが法定相続分です。結論から言うと、法定相続分とは、民法で定められた各相続人の取り分の割合のことで、誰が相続人になるかによって決まります。代表的なのは、配偶者と子なら各2分の1、配偶者と父母なら3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と4分の1です。この記事では、ケース別の割合を早見表で示し、同順位の人が複数いるときの分け方や、半血の兄弟姉妹・代襲相続の考え方まで、民法900条と法務省の資料にもとづいてわかりやすく整理します。
結論——法定相続分は「誰が相続人か」で割合が決まる
法定相続分とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分として法律(民法)で定められた割合のことです。ポイントは、配偶者は常に相続人になり、そこに次の順位の相続人が加わることで割合が決まる、という点です。相続人の順位は、①子などの直系卑属(第1順位)、②父母などの直系尊属(第2順位)、③兄弟姉妹(第3順位)の順です。上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。
なお、法定相続分は「必ずこの割合で分けなさい」という強制ではありません。遺言があればその内容が原則優先され、遺言がなければ相続人全員の遺産分割協議で別の分け方に合意することもできます。法定相続分は、話し合いや相続税計算の基準となる目安と考えるとわかりやすいでしょう。
出典: 民法第900条(法定相続分)/ 法務省(法務局)「法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」。取得日2026-07-23。
ケース別・法定相続分の早見表
相続人の組み合わせごとの法定相続分は、次のとおりです(民法900条)。同じ順位の人が複数いる場合は、その取り分を人数で等しく分けます。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の法定相続分 | 他方の法定相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 と 子 | 2分の1 | 子 全員で2分の1 |
| 配偶者 と 父母(直系尊属) | 3分の2 | 父母 全員で3分の1 |
| 配偶者 と 兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹 全員で4分の1 |
| 配偶者のみ(他に相続人なし) | 全部(1分の1) | — |
| 子のみ(配偶者なし) | — | 子 全員で全部(1分の1) |
| 父母のみ(配偶者・子なし) | — | 父母 全員で全部(1分の1) |
| 兄弟姉妹のみ(配偶者・子・親なし) | — | 兄弟姉妹 全員で全部(1分の1) |
同順位の人が複数いれば人数で均分します。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1です。出典: 民法第900条 / 法務省(法務局)「法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」。取得日2026-07-23。
相続人の順位のしくみ——配偶者は常に相続人
法定相続分を理解するには、まず誰が相続人になるか(相続人の順位)を押さえます。
- 配偶者 — 常に相続人になります(内縁ではなく、法律上の婚姻関係にある配偶者)。
- 第1順位:子(直系卑属) — 子がいれば、配偶者とともに相続人になります。子がすでに亡くなっている場合は、その子(孫)が代わって相続します(代襲相続)。
- 第2順位:父母(直系尊属) — 子や孫がいない場合に、配偶者とともに相続人になります。
- 第3順位:兄弟姉妹 — 子・孫も父母・祖父母もいない場合に、配偶者とともに相続人になります。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代襲相続します。
上の順位の相続人が一人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。たとえば子がいれば、父母や兄弟姉妹は相続人になりません。この順位のしくみと、上の早見表の割合を組み合わせると、自分のケースの取り分がわかります。
出典: 民法第887条〜第890条(相続人)・第900条(法定相続分)/ 法務省(法務局)「法定相続人」。取得日2026-07-23。
割合の当てはめ方——同順位が複数いるとき
同じ順位の人が複数いるときは、その順位全体の取り分を人数で等しく分けます。割合のイメージは次のとおりです。
- 配偶者と子2人 — 配偶者が2分の1、子は残りの2分の1を2人で分けて各4分の1。
- 配偶者と子3人 — 配偶者が2分の1、子は2分の1を3人で分けて各6分の1。
- 配偶者と父母2人 — 配偶者が3分の2、父母は残りの3分の1を2人で分けて各6分の1。
- 配偶者と兄弟姉妹2人 — 配偶者が4分の3、兄弟姉妹は残りの4分の1を2人で分けて各8分の1。
実際の金額に当てはめると、割合から各自の取り分がわかります。代表的な3つのケースを、当サイトの計算エンジンで算出した金額の目安で示します。
| ケース(遺産総額) | 配偶者の取り分 | 他の相続人の取り分 |
|---|---|---|
| 配偶者 と 子2人 (遺産6,000万円) | 2分の1 = 3,000万円 | 子 各4分の1 = 1,500万円/人 |
| 配偶者 と 父母2人 (遺産6,000万円) | 3分の2 = 4,000万円 | 父母 各6分の1 = 1,000万円/人 |
| 配偶者 と 兄弟姉妹2人 (遺産8,000万円) | 4分の3 = 6,000万円 | 兄弟姉妹 各8分の1 = 1,000万円/人 |
金額は当サイトの検証済み計算エンジンによる概算・目安です。同順位の人数が変わると各自の割合・金額も変わります。相続人の関係と遺産額を入れるだけで各自の取り分を自動で計算する法定相続分の計算ツールで、自分のケースをそのまま確認できます。
計算ツールで扱えるケース・扱えないケース
上の法定相続分の計算ツールは、配偶者・子・父母(直系尊属)・兄弟姉妹という基本的な相続人の組み合わせに対応しています。一方、次のような特殊なケースは、割合の計算が個別の事情で変わるためツールの対象外です。あてはまる場合は、弁護士・司法書士にご確認ください。
- 代襲相続 — 相続人となるはずの子や兄弟姉妹がすでに亡くなり、その子(孫・甥姪)が相続する場合(民法901条)。
- 半血の兄弟姉妹 — 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいる場合。相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1になります(民法900条4号ただし書き)。
- 二重の身分 — 同じ人が2つの立場を兼ねるなど、相続関係が複雑な場合。
なお、いずれのケースでも法定相続分はあくまで目安であり、遺言書があればその内容が、相続人全員の合意があれば遺産分割協議の内容が優先されます。
出典: 民法第900条・第901条 / 法務省(法務局)「法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」。取得日2026-07-23。
法定相続分と遺留分・遺産分割の関係
法定相続分は絶対のルールではなく、目安です。実際の分け方は、次のように決まります。
- 遺言書がある場合 — 原則として遺言の内容が優先されます。
- 遺言書がない場合 — 相続人全員の遺産分割協議で分け方を決めます。全員が合意すれば、法定相続分と異なる分け方もできます。
ただし、兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分として遺留分が保障されています。遺留分は、配偶者や子がいる場合は遺留分全体が法定相続分の半分(たとえば配偶者と子ならそれぞれ4分の1)、父母のみが相続人の場合は3分の1などと定められており、これを侵害されたときは請求できます。法定相続分と遺留分は別のものなので、違いは遺留分の計算で確認してください。遺産分割の話し合いをまとめる書面は遺産分割協議書とは・書き方で解説しています。
出典: 民法第900条・第1042条(遺留分)/ 法務省(法務局)「法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」。取得日2026-07-23。
相続税の計算でも法定相続分が使われる
法定相続分は、相続税の計算でも重要な役割を持ちます。相続税の総額は、実際の分け方にかかわらず、いったん各相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して各人の税額を計算し、それを合算して求めます(国税庁 No.4152)。そのうえで、実際に取得した割合に応じて各人の負担額を決めます。
また、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や、生命保険金・死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)も、法定相続人の数がもとになります。自分の家族構成での相続税の目安は相続税計算シミュレーターで、家族構成別の一覧は相続税早見表で確認できます。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.4152(相続税の計算)。取得日2026-07-23。相続税額は概算・目安であり、実際の税額は財産の評価・分割・各種控除により変わります。
一次情報(出典)
出典(取得日 2026年7月23日):
- 法務省(法務局)「法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)」(PDF) — ケース別の法定相続分・遺留分の割合、半血兄弟姉妹は2分の1、代襲相続
- 法務省「民法(相続関係)の改正について」 — 相続に関する民法のルール
- 国税庁 タックスアンサー No.4152(相続税の計算) — 相続税の総額は法定相続分どおりに取得したと仮定して計算
よくある質問
- 法定相続分とは何ですか?
- 法定相続分とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分として民法で定められた割合のことです。誰が相続人になるかによって割合が変わり、配偶者は常に相続人となります。遺言書がある場合は原則として遺言の内容が優先され、遺言がなく相続人どうしの遺産分割協議で別の分け方に合意した場合は、その分け方が優先されます(民法900条ほか)。
- 配偶者と子で相続する場合の法定相続分の割合は?
- 配偶者と子が相続人の場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子が全員で2分の1です。子が複数いるときは、子の2分の1をさらに人数で等しく分けます。たとえば配偶者と子2人なら、配偶者2分の1・子は各4分の1(2分の1÷2人)になります(民法900条)。
- 配偶者と親、配偶者と兄弟姉妹の場合の割合は?
- 子がいない場合は、次の順位の相続人が配偶者とともに相続します。配偶者と直系尊属(父母など)なら配偶者3分の2・父母3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1です。いずれも同順位の人が複数いれば、その取り分を人数で等しく分けます(民法900条・法務省資料)。
- 法定相続分どおりに必ず分けなければいけませんか?
- いいえ。法定相続分は分け方の目安であり、必ずこの割合で分ける義務はありません。相続人全員が遺産分割協議で合意すれば、法定相続分と異なる分け方もできます。遺言書がある場合は原則としてその内容が優先されます。ただし、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という最低限の取り分が保障されており、これを侵害された場合は請求できます。
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