相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁の公表資料・令和7年4月1日現在法令等に基づく)

名義預金の解消方法——時効はある?「使ってしまった」場合の考え方

結論から言うと、名義預金は「使い切る」「時効を待つ」といった方法で相続税の対象から外れるわけではありません。そもそも名義預金は、名義人への贈与が成立しておらず、実質的に亡くなった方(被相続人)の財産のままの状態です。正しい解消とは、名義を実質に合わせること——つまり、生前に実体のある贈与をきちんと成立させて記録を残すか、実質どおり相続財産として申告するか、のどちらかです。この記事では、名義預金の正しい解消方法と、多くの人が気にする「時効」「10年前の口座」「使ってしまった」場合の考え方を、国税庁の資料にもとづいて整理します。本ページは、税負担を不当に逃れる方法や、財産を隠す方法を説明するものではありません。

まず前提——名義預金は「隠す」「使い切る」で解決しない

名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を出した人(原資の負担者)が違う預金のことで、名義が家族でも、実質的に亡くなった方の財産と認められるものは相続税の課税対象になります(名義預金とは)。ここで大切なのは、「渡し方」や「使い方」を変えても、それが実質的に誰の財産かという事実は変わらないということです。名義を家族にしたまま放置しても、口座のお金を引き出しても、実質が亡くなった方の財産であれば、相続のときに相続財産として扱われます。

したがって、名義預金の「解消」とは、財産を見えなくすることではありません。名義と実質のズレを、正しい手続きで解消しておくことです。放置すると、相続のときに相続人が「これは誰の財産か」を説明できず、かえって手続きが複雑になります。

出典: 国税庁「相続税の申告の誤りやすい事例⑥(被相続人以外の名義の財産・預貯金)」/ タックスアンサー No.4105(相続税がかかる財産)。取得日2026-07-23。

名義預金に「時効」はある?——10年・20年経っても外れない理由

「贈与税には時効があると聞いた。名義預金も一定の年数が経てば相続税の対象から外れるのでは?」という疑問はよくあります。結論は「外れない」です。理由は、名義預金の性質にあります。

いわゆる「贈与税の時効」は、実際に贈与が成立していることが前提の話です。ところが名義預金は、名義を家族に変えただけで、あげる・もらうの合意(贈与)が成立していない状態を指します。贈与が成立していない以上、そこに贈与税の課税関係はそもそも生じておらず、「贈与税の時効」を待つという発想自体があてはまりません。実質は最初から最後まで亡くなった方の財産であり、相続のときに相続財産として相続税の対象になります。

そのため、「口座を作ってから10年前・20年前だから、もう時効で自分のもの」とはなりません。年数の経過ではなく、原資・管理・贈与の成立といった実質で判断されるためです(判定の詳細は名義預金とは・判定チェックリスト)。過去に作った口座であっても、実質が亡くなった方の財産なら、相続財産として申告に含める必要があります。

出典: 国税庁「誤りやすい事例⑥」/ タックスアンサー No.4402(贈与税がかかる場合=贈与は当事者の合意で成立)。取得日2026-07-23。時効・除斥期間の具体的な取扱いは個別事情により異なるため、税理士・税務署にご確認ください。

正しい解消方法——「実体のある贈与」か「相続財産として申告」か

名義預金を正しく解消する方向は、大きく2つです。どちらも記録を残すことが共通のポイントになります。

方法1: 生前に「実体のある贈与」を成立させる

名義人のものにしたいなら、名義を変えるだけでなく、本当の意味で贈与を成立させる必要があります。ポイントは次のとおりです。

  1. あげる人ともらう人が合意する — 贈与は当事者の合意で成立します。もらう人が「もらった」と認識していることが大切です。
  2. もらう人が自分で管理・使用できる状態にする — 通帳・印鑑・キャッシュカードをもらう人自身が持ち、自由に使える状態にします。あげた人が管理し続けていると、名義預金のままと扱われがちです。
  3. 記録を残す — 贈与契約書を作り、手渡しではなく銀行振込にすると、いつ・いくら・誰から誰へ渡したかが記録に残ります。
  4. 110万円を超えるなら贈与税を申告する — 1年間にもらった贈与の合計が110万円を超える場合は、翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告が必要です(国税庁 No.4402・No.4429)。

正しい贈与のやり方は生前贈与のやり方・贈与契約書の書き方、非課税の枠は生前贈与の非課税枠で解説しています。

方法2: 実質どおり相続財産として申告する

すでに亡くなっている、あるいは実質が亡くなった方の財産のままである場合は、名義預金を相続財産に含めて相続税を申告するのが正しい取扱いです。名義が家族でも、実質が亡くなった方の財産なら、相続税の対象として申告に含めます。含めるべきか迷うときは、①原資・②管理運用・③贈与の成立を整理したうえで、相続に強い税理士や税務署に相談してください。

出典: 国税庁 No.4402(贈与税がかかる場合)・No.4429(贈与税の申告と納税=申告期限は翌年2月1日〜3月15日)/「誤りやすい事例⑥」。取得日2026-07-23。

「使ってしまった」場合はどうなる?

名義預金の口座から、すでにお金を引き出して使ってしまったというケースもあります。この場合の考え方は、「誰が、どういう立場で使ったか」で分かれます。

いずれにしても、「使い切れば相続税がかからない」という考え方は誤りです。実質が亡くなった方の財産であるものを、意図的に隠したり、少なく申告したりすると、本来の税金に加えて加算税などがかかることがあります。心当たりがあるときは、隠すのではなく、事実を整理して税理士・税務署に相談するのが確実です。

出典: 国税庁 No.4429(贈与税の申告と納税=加算税)/「誤りやすい事例⑥」。取得日2026-07-23。取扱いは個別事情により異なります。

やってはいけないこと——「隠す」「時効待ち」「使い切る」は逆効果

次のような対応は、名義預金を「解消」するものではなく、かえって不利になりかねません。

正しい方向は一貫して、実質に合わせて、記録を残して、正しく申告することです。生前なら実体のある贈与を、相続時なら相続財産として。判断に迷うときは専門家に相談してください。

本サイトは税負担を不当に逃れる方法や財産を隠す方法を説明するものではありません。出典: 国税庁「誤りやすい事例⑥」/ No.4429。取得日2026-07-23。

🧮 名義預金を相続財産に含めた場合の相続税の目安を試算 → 相続税計算シミュレーター

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月23日 / 令和7年4月1日現在法令等):

よくある質問

名義預金に時効はありますか?一定の年数が経てば相続税の対象から外れますか?
外れません。「贈与税の時効」は、実際に贈与が成立している場合に問題になるものです。名義預金は、そもそも名義人への贈与が成立しておらず、実質的に亡くなった方の財産のままであるため、贈与税の時効という問題は生じません。口座を作ってから10年、20年が経っていても、実質が亡くなった方の財産であれば、相続のときに相続財産として相続税の対象になります。
名義預金を正しく解消するにはどうすればよいですか?
名義を実質に合わせるのが基本です。方法は主に2つあります。(1)名義人へ実体のある生前贈与を成立させる=あげる人ともらう人が合意し、もらう人が通帳・印鑑を管理して自由に使える状態にし、贈与契約書や振込の記録を残す(年110万円を超えれば贈与税の申告)。(2)実質どおり、亡くなった方の財産として相続財産に含めて相続税を申告する。いずれも記録を残すことが大切で、判断は税理士・税務署にご相談ください。
名義預金を使い切ってしまえば相続税はかかりませんか?
渡し方や使い方を変えても、それが実質的に亡くなった方の財産であるという事実は変わりません。本ページは税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。名義人が生前に自分の判断で自由に使っていたのなら、そもそも名義預金ではなく名義人自身の財産だった可能性があります。一方、亡くなった方の管理のもとでお金を動かしただけなら、相続財産として扱われます。実際の取扱いは事情により異なるため、税理士・税務署にご確認ください。
名義預金を相続財産に含めずに申告したらどうなりますか?
実質的に亡くなった方の財産である名義預金を申告から外してしまうと、後から相続財産と認められた場合に、本来の相続税に加えて加算税などがかかることがあります。名義預金は相続税の申告で見落とされやすい財産として国税庁も注意を促しています。隠すのではなく、実質を正しく確認して申告に含めることが大切です。

名義預金の意味や判定の詳細は名義預金とは・判定チェックリストで解説しています。正しい贈与のしかたは生前贈与のやり方、現金手渡しの注意点は現金手渡しの生前贈与は「ばれる」?、110万円の枠は非課税枠はいくらまで?をどうぞ。相続財産に含めた場合の税額の目安は相続税計算シミュレーター、贈与税額は贈与税の計算で確認できます。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく名義預金の解消に関する一般的な情報の解説であり、税負担を不当に逃れる方法や財産を隠す方法を説明するものではありません。名義預金にあたるかどうか、その解消の取扱いは、原資・管理・贈与の成立など個別の事情によって異なります。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成や、有利不利・実行可否の判断には対応していません。具体的な判断は、相続に強い税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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