最終更新: (国税庁No.4429ほかに基づく)
生前贈与のやり方——手続きの流れと贈与契約書の書き方
生前贈与は、①あげる人ともらう人が合意し、②贈与契約書を作り、③銀行振込など記録が残る形で財産を移し、④年110万円を超える贈与や特例を使うときは翌年に贈与税を申告する、という流れが基本です。贈与は口約束でも成立しますが、あとで「本当に贈与だったか」を証明できるよう、契約書と記録を残すことが大切です。ここでは手続きの流れと、贈与契約書に書く主な要素、名義預金と見なされないための注意点を整理します。
生前贈与の基本の流れ(4ステップ)
生前贈与そのものは、法律上は「あげる」「もらう」の合意があれば成立します。ただし税務上のトラブルを避けるため、次の流れで進めておくと安心です。
- 贈与の内容を決めて合意する — 誰が、誰に、何を、いつ贈与するかを決めます。贈与はあげる人ともらう人、双方の合意で成立します(片方が知らないうちに名義を移しても贈与にはなりません)。
- 贈与契約書を作る — 合意した内容を書面に残します。口頭でも成立しますが、あとで事実を証明するために契約書を作っておくのが一般的です(要素は次の項で解説)。
- 記録が残る形で財産を移す — 現金なら手渡しではなく銀行振込にするなど、いつ・いくら・誰から誰へ移したかが残る形にします。もらう人自身が管理する口座へ移すことが重要です。
- 必要なら翌年に贈与税を申告する — 1年間の贈与合計が110万円を超える場合や、住宅取得等資金などの特例を使う場合は、翌年の2月1日〜3月15日に贈与税の申告をします(国税庁No.4429)。
出典: 国税庁 No.4429「贈与税の申告と納税」(申告期限は財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日まで)。取得日2026-07-22。
贈与契約書に書く主な要素
贈与契約書に決まった書式はありませんが、あとで贈与の事実を示せるよう、一般的には次のような内容を記載します。当サイトはひな形の配布や、個別の事情に合わせた書式の作成は行いません。下記はあくまで「一般的にどんな要素が含まれるか」の解説です。
- 契約の日付 — いつ贈与に合意したか
- あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者) — それぞれの氏名・住所
- 贈与する財産の内容 — 現金なら金額、不動産なら所在地・地番など、対象を特定できる情報
- 贈与する意思・受け取る意思 — 「贈与する」「受諾する」という双方の合意
- 渡し方・時期 — いつ、どの方法で財産を渡すか
- 署名・押印 — 双方の署名・押印。もらう人が未成年の場合は親権者が関わります
契約書は、贈与のたびに1通ずつ作るのが基本です。毎年同じ額を渡す場合でも、「最初からまとまった額を約束していた」とみなされないよう、その都度合意して契約書を作る形が一般的とされています。書式や書き方に迷うときは、税理士など専門家にご確認ください。
「名義預金」と見なされないために
生前贈与でとくに問題になりやすいのが「名義預金」です。たとえば親が子ども名義の口座を作ってお金を積み立てても、通帳や印鑑を親が管理し、子どもがその存在を知らない・自由に使えないといった場合、実質的には親の財産(名義預金)とみなされ、贈与と認められないことがあります。そうなると、その財産は相続のときに相続財産として扱われます。
名義預金と見なされないためには、もらう人自身が管理・使用できる口座に移し、贈与契約書と振込の記録を残しておくことが大切です。「渡したつもり」ではなく、もらった人が自分の財産として管理している状態にしておくのがポイントです。
贈与税の申告が必要なとき
次のような場合には、贈与税の申告が必要です。申告期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです(国税庁No.4429)。
- 1年間(暦年課税)の贈与合計が110万円を超えるとき(超えた分に贈与税)
- 住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金などの非課税特例を受けるとき
- 相続時精算課税を選ぶとき(選択届出書の提出が必要。年110万円の基礎控除内なら申告不要)
申告期限までに申告しなかったり、実際より少ない額で申告したりすると、本来の税金のほかに加算税がかかることがあります(国税庁No.4429)。金額の目安は贈与税の計算で確認できます。非課税枠のまとめは生前贈与の非課税枠はいくらまで?をどうぞ。
出典: 国税庁 No.4429「贈与税の申告と納税」(申告期限・期限後申告の加算税)。取得日2026-07-22。
一次情報(出典)
出典(取得日 2026年7月22日):
- 国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税 — 申告期限は財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日まで、期限後申告等の加算税
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 — 1年間の贈与合計が110万円以下なら贈与税はかからず申告不要
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択 — 選択届出書の提出、年110万円の基礎控除内なら申告不要
よくある質問
- 生前贈与のやり方は?
- 基本は、(1)あげる人ともらう人が贈与に合意し、(2)贈与契約書を作成し、(3)銀行振込など記録が残る形で財産を移し、(4)年110万円を超える贈与や特例を使う場合は翌年に贈与税を申告する、という流れです。口頭でも贈与は成立しますが、あとで事実を証明できるよう、契約書と記録を残すことが重要です。
- 贈与契約書には何を書きますか?
- 一般的には、契約の日付、あげる人ともらう人の氏名・住所、贈与する財産の内容、贈与する意思、双方の署名・押印などを記載します。当サイトはひな形の配布や個別の書式作成は行いません。書式や記載内容に迷う場合は税理士など専門家にご確認ください。
- 「名義預金」と言われないためにはどうすればよいですか?
- 子や孫の名義の口座にお金を入れていても、実際には贈与した側が管理していると「名義預金」とみなされ、贈与と認められない場合があります。もらう人自身が管理・使用できる口座に移し、贈与契約書と振込の記録を残しておくことが大切です。
- 贈与税の申告はいつ、どんなときに必要ですか?
- 1年間の贈与合計が110万円を超える場合や、住宅取得等資金などの特例を受ける場合に申告が必要です。申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです(国税庁No.4429)。
生前贈与の全体像は生前贈与とは、非課税の枠は生前贈与の非課税枠はいくらまで?で解説しています。累計2,500万円の枠を使う制度は相続時精算課税とは、相続税への持ち戻しは生前贈与加算の7年ルールをどうぞ。贈与税額の目安は贈与税の計算、総額の比較は生前贈与シミュレーターで確認できます。