相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁No.4402ほかに基づく)

生前贈与の非課税枠はいくらまで?——110万円と主な非課税特例

生前贈与でもっとも基本になる非課税枠は、暦年課税の「年110万円」です。1年間(1月1日〜12月31日)に受けた贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です(国税庁No.4402)。そのほかに、住宅取得等資金・結婚子育て資金など、使いみちを限定した非課税特例もあります。教育資金の一括贈与は2026年3月31日で新規適用が終了しました。期限内に適用を受けた資金には引き続き特例が適用されるため、新たに贈与する場合と区別して確認します。ただし特例には限度額・期限・要件があり、110万円を超える贈与や特例に当てはまらない贈与は、贈与税の対象になります。

基本は「年110万円」まで——暦年課税の基礎控除

贈与税の原則的な計算方法である暦年課税には、年110万円の基礎控除があります。1人の人が1年間に受け取った贈与の合計額から110万円を差し引き、残った金額に贈与税がかかるしくみです。1年間の贈与合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、贈与税の申告も不要です(国税庁No.4402)。

ここで注意したいのは、110万円は「もらう人1人あたり・1年あたり」で考える点です。複数の人から贈与を受けた場合は、その合計額で判断します。父から100万円、母から100万円を同じ年にもらえば合計200万円となり、110万円を超えた分が課税対象になります。

出典: 国税庁 No.4402「贈与税がかかる場合」(1年間の贈与合計が110万円以下なら贈与税はかからず申告不要)。取得日2026-07-22。

110万円を超えるとどうなる?——超えた分に贈与税

1年間の贈与合計が110万円を超えると、超えた部分に贈与税がかかります。たとえば、直系尊属(父母や祖父母)から18歳以上の人が500万円の贈与を受けた場合、110万円を差し引いた390万円が課税対象となり、特例税率を適用して贈与税は48.5万円です(国税庁No.4408の計算例。390万円×15%−10万円=48.5万円)。金額が大きくなるほど税率は段階的に上がります。

具体的な金額の目安は、贈与額を入れて確認できる贈与税の計算や贈与税早見表が便利です。

出典: 国税庁 No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」(500万円贈与→基礎控除後390万円、特例税率で48.5万円の計算例)。取得日2026-07-22。

目的別の非課税特例——住宅・教育・結婚子育て

110万円の基礎控除とは別に、使いみちを限定した非課税特例があります。いずれも父母や祖父母など直系尊属からの贈与が対象で、年齢・使いみち・適用期限などの要件があります。次の表では、教育資金の新規適用終了と既存の適用分を分けて示します。

特例非課税限度額主な要件・期限
住宅取得等資金
(No.4508)
省エネ等住宅 1,000万円
その他の住宅 500万円
贈与を受けた年の1月1日に18歳以上、合計所得金額2,000万円以下(床面積40〜50㎡未満は1,000万円以下)など。令和6年1月1日〜令和8年12月31日の贈与
教育資金の一括贈与
(No.4510)
新規適用終了
1,500万円
(期限内に適用を受けた資金)
金融機関等との教育資金管理契約などの要件あり。2026年4月1日以後の新規・追加拠出は対象外。2026年3月31日までに適用を受けた資金は引き続き特例の対象ですが、贈与者の死亡時や契約終了時に課税される場合があります。
結婚・子育て資金の
一括贈与(No.4511)
1,000万円金融機関等との管理契約が前提。18歳以上50歳未満。平成27年4月1日〜令和9年3月31日の贈与

これらの特例は金額が大きい一方、金融機関との契約が必要なもの、使いきれずに残った分が課税されるもの、贈与者が亡くなったときの残額の扱いなど、細かい要件があります。適用できるか、いつまでに手続きが必要かは、必ず最新の国税庁情報を確認し、実際の利用は税理士へご相談ください。

出典: 国税庁 No.4508(住宅取得等資金・省エネ等住宅1,000万円/その他500万円・令和6.1.1〜令和8.12.31)、No.4510(教育資金1,500万円・契約締結日に30歳未満・〜令和8.3.31)、No.4511(結婚・子育て資金1,000万円・18歳以上50歳未満・〜令和9.3.31)。住宅・結婚子育ては2026-07-22取得。教育資金の終了・既存適用は国税庁No.4510と文部科学省Q&A(2026年4月版)を2026-10-13再確認。

相続時精算課税は基礎控除と特別控除を分けて確認

暦年課税とは別に、相続時精算課税には、贈与者ごとに累計2,500万円までの特別控除があります。2024年1月1日以後の贈与には、年110万円の基礎控除もあります。相続時に加算するのは、原則として年ごとの贈与時の価額の合計から、この制度の基礎控除額を引いた残額です。特別控除で贈与税がかからない部分も、相続時の加算から除かれるわけではありません。しくみと注意点は相続時精算課税とはで詳しく解説しています。

同じ年に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合、基礎控除110万円は贈与者ごとの課税価格であん分します。2023年以前の贈与にこの基礎控除はありません。制度の選択には届出が必要で、特別控除には期限内申告が必要です。選択した贈与者について暦年課税へ戻すことはできません(国税庁No.4103)。

「非課税枠内」でも安心できない点——相続税への持ち戻し

見落としやすいのが、贈与税がかからない=相続税もかからない、ではないという点です。暦年課税で贈与した財産は、相続開始前の一定期間分が相続財産に足し戻され、相続税の計算対象になります(生前贈与加算)。この期間は令和6年の改正で3年から7年へ段階的に延長されており、年110万円以内の贈与でも加算の対象になり得ます。

また、子や孫の名義で口座を作っても、実際には贈与した側が管理していると「名義預金」とみなされ、贈与と認められないことがあります。非課税枠を使うときも、贈与の事実を記録に残すことが大切です。加算のルールは生前贈与加算の7年ルール、贈与の進め方は生前贈与のやり方で解説しています。

出典: 国税庁 No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(相続開始前一定期間の暦年贈与を相続財産へ加算)。取得日2026-07-22。

🧮 暦年贈与・相続時精算課税・何もしない場合の総額を比べる → 生前贈与シミュレーター

一次情報(出典)

出典(教育資金と相続時精算課税は2026年10月13日確認、その他は2026年7月22日取得):

よくある質問

生前贈与は年間いくらまで非課税ですか?
暦年課税では、1年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。これがもっとも基本的な非課税枠です(国税庁No.4402)。
110万円のほかに非課税になる制度はありますか?
住宅取得等資金や結婚・子育て資金など、目的と要件を定めた非課税特例があります。教育資金の一括贈与は2026年3月31日で新規適用が終了し、同年4月1日以後の新規・追加拠出は対象外です。期限内に適用を受けた資金には引き続き特例が適用されますが、贈与者の死亡時や契約終了時には課税される場合があります(国税庁No.4508・No.4510・No.4511)。
110万円を超えて贈与するとどうなりますか?
超えた部分に贈与税がかかります。たとえば直系尊属から18歳以上の人が500万円の贈与を受けた場合、110万円を引いた390万円に特例税率を適用し、贈与税は48.5万円です(国税庁No.4408の計算例)。金額が大きいほど税率は上がります。
非課税の範囲内なら相続税もかかりませんか?
必ずしもそうではありません。暦年課税の贈与は、相続開始前の一定期間分が相続税に持ち戻されます(生前贈与加算)。年110万円以内でも加算の対象になり得ます。非課税枠と相続税は別の話として確認が必要です(国税庁No.4161)。

生前贈与の全体像は生前贈与とは、進め方は生前贈与のやり方・手続き・契約書で解説しています。累計2,500万円の枠を使う制度は相続時精算課税とは、相続税への持ち戻しは生前贈与加算の7年ルールをどうぞ。贈与税額の目安は贈与税の計算で確認できます。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく生前贈与の非課税枠に関する一般的な情報の解説です。各非課税特例の限度額・期限・要件は改正されることがあり、実際に適用できるかは個別の状況によって変わります。金額は概算・目安であり、実際の税額は財産の評価・贈与や相続の状況・各種控除の適用によって変わります。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成、特例の適用可否の判断には対応していません。具体的な判断は税理士・税務署にご相談ください。
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