相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁の公表資料・令和7年4月1日現在法令等に基づく)

名義預金とは——相続税の対象になる理由と「自分のケース」判定チェックリスト

「亡くなった親が、自分(子)の名義で作っていた預金がある」「収入のない配偶者の名義なのに、まとまった残高がある」——こうした預金は、相続のときに名義預金ではないかと問題になることがあります。結論から言うと、名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を出した人が違う預金のことで、名義が家族であっても実質的に亡くなった方(被相続人)の財産と認められるものは、相続税の課税対象になります。この記事では、なぜ名義ではなく実質で判断されるのかという理由と、自分のケースが名義預金にあたるかを見分けるための判定チェックリストを、国税庁の公表資料にもとづいてやさしく整理します。

結論——名義預金とは「名義人 ≠ お金を出した人」の預金

名義預金とは、預金口座や定期預金証書の名義人と、実際にそのお金を出した人(原資を負担した人)が異なる預金のことをいう、実務上の呼び方です。たとえば、亡くなった方が自分の収入から預け入れ、通帳・印鑑・証書を自分で管理していた、配偶者や子・孫名義の預金がこれにあたります。

相続税は、名義ではなく「実質的に誰の財産か」で判断されます。国税庁は、名義にかかわらず、被相続人が取得のための資金を拠出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象になる、としています。そのため、家族の名義や無記名の預貯金であっても、実質的に被相続人に帰属するものは、相続税の申告に含める必要があります。

出典: 国税庁「相続税の申告の誤りやすい事例⑥(被相続人以外の名義の財産・預貯金)」/ 国税庁 タックスアンサー No.4105(相続税がかかる財産、令和7年4月1日現在法令等)。取得日2026-07-23。本ページは一般的な解説であり、個別の判断は税理士・税務署にご確認ください。

なぜ名義が家族でも相続税の対象になるのか

相続税の対象になる財産は、「被相続人の名義になっている財産」だけではありません。国税庁は、相続税の申告で誤りやすい事例として、被相続人以外の名義の預貯金を挙げ、次のように説明しています。

名義にかかわらず、被相続人が取得等のための資金を拠出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となります。(国税庁「誤りやすい事例⑥」より)

つまり、口座の名義が子や孫、配偶者になっていても、そのお金の元手を出したのが亡くなった方で、亡くなった方が管理していたのであれば、実質的にはその人の財産であり、相続財産として相続税がかかる、という考え方です。国税庁が示す具体例では、「父の収入から預け入れ、父が管理・運用していた子名義の定期預金で、子が贈与を受けたことがないもの」は、子名義であっても父の相続財産として申告する必要があるとされています。

出典: 国税庁「相続税の申告の誤りやすい事例⑥(被相続人以外の名義の財産・預貯金)」。取得日2026-07-23。

判定チェックリスト——自分のケースは名義預金?

名義預金にあたるかどうかは、一つの決め手だけで決まるのではなく、いくつかの点を総合的にみて「実質的に誰の財産か」を判断します。下のチェックで「被相続人(亡くなった方)」に多く当てはまるほど、名義預金として相続財産に含まれる可能性が高くなります。

みるポイント名義預金にあたりやすい(相続財産の可能性)名義人自身の財産といいやすい
① 原資(お金の元手)は
誰が出したか
亡くなった方の収入・預金から出た名義人自身の収入・正当な贈与から出た
② 通帳・印鑑・証書を
管理していたのは誰か
亡くなった方が保管・管理していた名義人が自分で保管・管理していた
③ 預け入れ・引き出しなど
運用を決めていたのは誰か
亡くなった方が決めていた名義人が自分の判断で行っていた
④ 名義人への
生前贈与が成立していたか
贈与の合意がなく、名義人は受け取った認識もない贈与の合意があり、名義人が自由に使える状態だった
⑤ 利息など利益を
受けていたのは誰か
亡くなった方が受け取っていた名義人が受け取り、使っていた

特に重要なのが①原資②③管理・運用、そして④贈与の成立です。国税庁の事例でも、「原資が亡くなった方」「亡くなった方が管理・運用」「名義人が贈与を受けていない」という3点がそろうケースが、名義人の名義でも相続財産にあたる典型として示されています。逆に、名義人が自分のお金を自分で管理し、贈与も正しく成立していれば、名義人自身の財産といえます。

上表は判断の目安であり、これだけで結論が決まるものではありません。名義預金にあたるかは個別の事情で異なるため、実際の申告での取扱いは税理士・税務署にご確認ください。出典: 国税庁「誤りやすい事例⑥」。取得日2026-07-23。

名義預金になりやすい典型パターン

実際に問題になりやすいのは、次のようなケースです。いずれも「名義は家族、でもお金の出どころと管理は亡くなった方」という共通点があります。

なお、子や孫名義の口座にお金を入れること自体が悪いわけではありません。問題は「名義を変えただけで、実際には亡くなった方の財産のままだった」という点です。生前にきちんと贈与を成立させ、名義人が自分の財産として管理・使用していれば、名義預金ではなく正しい贈与になります。詳しくは現金手渡しの生前贈与は「ばれる」?もあわせてご覧ください。

名義預金は相続税の申告で確認されやすい

相続税の申告があると、税務署は内容を確認するために、亡くなった方や家族の預貯金の入出金の流れなどを調べることがあります。過去にまとまったお金が動いていたり、収入に比べて家族名義の残高が大きかったりする場合、名義預金ではないかが確認の対象になりやすいとされています。名義預金は、相続税の申告で見落とされやすい財産の代表として、国税庁も「誤りやすい事例」として注意を促しています。

大切なのは、隠すことではなく、正しく実質を確認して申告に含めることです。実質的に亡くなった方の財産であるものを申告から外してしまうと、後から相続財産と認められた場合に、本来の税金に加えて加算税などがかかることがあります。心当たりがあるときは、早めに相続に強い税理士や税務署に相談すると安心です。

出典: 国税庁「誤りやすい事例⑥」/ タックスアンサー No.4105(相続税がかかる財産)。取得日2026-07-23。本サイトは税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。

🧮 名義預金を相続財産に含めると相続税はいくら? まずは総額の目安を試算 → 相続税計算シミュレーター

心当たりがあるときの次の一歩

「これは名義預金かもしれない」と思ったら、まず①のチェックで原資と管理・贈与の状況を整理し、実質的に誰の財産かを確認します。名義預金にあたる場合の正しい解消のしかたや、よくある「時効」「使ってしまった」の考え方は、名義預金の解消方法・時効で解説しています。生前のうちに正しく贈与を成立させる方法は生前贈与のやり方・贈与契約書を、110万円の非課税枠は生前贈与の非課税枠をご覧ください。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月23日 / 令和7年4月1日現在法令等):

よくある質問

名義預金とは何ですか?
名義預金とは、口座や証書の名義人と、実際にそのお金を出した人(原資の負担者)が異なる預金のことをいう、実務上の呼び方です。たとえば、亡くなった方(被相続人)が自分の収入から預け入れ、通帳や印鑑を管理していた、配偶者や子・孫名義の預金がこれにあたります。名義が家族であっても、実質的に被相続人の財産と認められるものは、相続税の課税対象になります(国税庁「誤りやすい事例」)。
なぜ名義が家族でも相続税の対象になるのですか?
相続税は、名義ではなく「実質的に誰の財産か」で判断されるためです。国税庁は、名義にかかわらず、被相続人が取得のための資金を拠出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象になる、としています。したがって、家族の名義や無記名の預貯金・株式などであっても、実質的に被相続人に帰属する場合は相続税の申告に含める必要があります。
自分の家の預金が名義預金かどうかは、どう判断すればよいですか?
一つの決め手で決まるのではなく、(1)そのお金の元手(原資)を誰が出したか、(2)通帳・印鑑・証書を管理し運用していたのは誰か、(3)名義人へ生前に贈与が成立していたか(合意があり、名義人が自分の財産として自由に使える状態か)などを総合的にみて、実質的に誰の財産かを判断します。判断に迷うときは、相続に強い税理士や所轄の税務署にご相談ください。
専業主婦(夫)がためた「へそくり」も名義預金になりますか?
配偶者の収入からやりくりしてためたお金を、収入のない配偶者の名義で預金していた場合、その原資は収入のある側の財産であることが多く、名義預金として相続財産に含めるべきか問題になりやすいケースです。もっとも、配偶者自身の労働や贈与など正当な原資があると認められる部分もあり、ケースにより結論は異なります。具体的な取扱いは税理士・税務署にご確認ください。

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本ページは、国税庁の公表資料にもとづく名義預金に関する一般的な情報の解説であり、税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。名義預金にあたるかどうかは、原資・管理・贈与の成立など個別の事情によって異なり、本ページの内容だけで結論が決まるものではありません。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成や、有利不利・実行可否の判断には対応していません。具体的な判断は、相続に強い税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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