相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

本文更新: 。今回確認した一次資料と確認範囲は、末尾の出典に記載しています。

名義預金とは?贈与との違いと相談前に整理する資料

親の遺品から、自分名義の通帳が見つかった。家族の口座に、誰のものか分からないお金が残っている。そんなときに確認したいのが、口座の名義と、実質的な所有者が一致しているかです。名義預金とは、この両者が異なる預金を指す呼び方です。原資を出した人が別でも、贈与によって名義人の財産になっている場合があるため、入金元だけでは判断できません。

この記事では、名義預金と贈与の違いを確認したうえで、相談前に集めたい資料を整理します。チェックの数から該当・非該当を判定するものではありません。

名義預金とは「名義」と「実質的な所有者」が異なる預金

相続で問題になるのは、家族名義の口座であっても、実質的には亡くなった方(被相続人)の財産と認められる預金です。誰が資金を出したか、誰が管理・運用していたか、贈与の事実があったかなどを総合的に確認します。

国税庁の「誤りやすい事例⑥」は、父の収入を原資として父が管理・運用し、子が贈与を受けたことのない子名義の定期預金を取り上げています。この条件の下で父の財産と認められるものは、相続税の課税対象になります。家族名義の口座すべてが同じ取扱いになるという説明ではありません。

また、相続財産に含まれることと、相続税の申告・納税が必要かどうかは別の確認です。申告等の要否は、遺産全体や控除・特例などの条件によって変わります。

根拠: 国税庁「誤りやすい事例⑥」・No.4105、国税不服審判所の平成19年10月4日裁決。個別の預金の帰属は、税理士・税務署にご確認ください。

贈与の成立、贈与税、相続税への加算を分けて確認する

家族の口座に入れただけでは、贈与かどうかは決まらない

贈与では、渡す側の意思表示と受け取る側の受諾が問題になります。預金の帰属を確認する際には、当時の合意に加え、実際の資金移動や管理・運用の経緯も整理します。贈与契約書がある、通帳を渡した、といった一つの事実だけで結論を出すことはできません。

110万円は、名義預金かどうかを分ける金額ではない

暦年課税では、贈与を受けた人の年間の贈与財産の合計額から、基礎控除110万円を差し引きます。この枠は、口座ごと・贈与者ごとではありません。入金額が枠内でも、贈与が成立していたか、誰の財産かという確認は残ります。相続時精算課税を選んだ場合は別の取扱いがあるため、ここでの説明を一律に当てはめないでください。

成立した贈与でも、相続税の計算に加わる場合がある

名義人の財産になっている預金でも、贈与を受けた人や時期などが税法上の要件に当たると、贈与財産を相続税の計算に加算する場合があります。暦年課税の基礎控除以下の贈与も、加算対象になり得ます。「誰の財産か」と「成立した贈与を加算するか」は別の論点です。対象期間や条件は生前贈与加算の解説で確認できます。

根拠: 国税不服審判所の平成23年8月26日裁決、国税庁 No.4402・No.4408・No.4410・No.4161。個別の贈与の成立や課税関係は、このページでは判定しません。

相談前の資料整理表——口座ごとに事実と不明点を残す

下の表は、該当する項目数を数える診断表ではありません。分からない点は推測で埋めず「未確認」とし、手元にある記録と分けておきます。相談先から追加資料を求められる場合もあります。

確認すること資料・メモの例
原資と入金の経緯入出金の履歴、振込元の記録、本人の収入や相続・贈与で受け取った資金の資料。複数の原資が混ざっている場合は、その点も記す。
管理・運用の実態通帳・印鑑・カードの保管者、入出金や定期預金の更新を決めた人、利息や払戻金の使途。途中で変わった場合は時期を記す。
贈与の合意と記録贈与契約書、当時のやり取り、振込記録、贈与税申告の控えなど。書類の有無だけで贈与の成立を決めない。
家族による管理の理由子が未成年だった時期、誰がどの立場で管理していたか、家計用など口座を作った目的。単なる保管と、自分の財産としての管理を区別して説明する。
現在の確認状況分かっている事実、見つからない資料、家族間で説明が異なる点。確認できた日と、追加で尋ねたいことを分ける。

メモの書き方の例(架空):「入金元は親の口座。通帳の保管者は途中で交代。贈与契約書は未確認」。この段階では名義預金かどうかを決めず、確認できた事実だけを持参します。口座番号や暗証番号などを当サイトへ入力・送信する必要はありません。

国税不服審判所の裁決で確認されている原資・管理運用・贈与の論点をもとに、当サイトが相談準備用に整理した表です。公式の判定表・必要書類一覧ではありません。

子・孫や配偶者の口座で、決めつけないための注意点

親が管理していた子の口座

親が通帳を保管していた事実だけで、親の財産とは決まりません。国税不服審判所には、未成年の子の法定代理人である母が贈与を受諾し、子のために預金を管理していた事情から、子に帰属すると認めた裁決があります。子本人の認識だけでなく、当時の年齢や代理人の関与も確認する必要があります。この裁決は個別事案の判断であり、親が保管する口座すべての結論を示すものではありません。

配偶者名義の預金や、生活費から貯めたお金

現在の収入や「へそくり」という呼び名だけでは判断できません。本人の過去の収入、相続・贈与で受け取った財産、家計の資金移動など、預金ができた経緯を確認します。

なお、扶養義務者から通常必要な生活費などを受け取り、その都度直接使う場合の贈与税の取扱いと、受け取ったお金を預金として貯める場合の取扱いは同じではありません。「生活費として受け取った」という説明だけで、一律に非課税とはいえません。

根拠: 国税不服審判所の令和3年9月17日裁決(未成年の子の預金に関する争点)、国税庁 No.4405。

整理した資料を持って、税金の取扱いを確認する

相続税・贈与税でどう扱うか迷う場合は、税理士または税務署にご相談ください。上の表の内容を伝えるときは、資料から確認できた事実と、記憶だけの話・まだ分からない点を分けます。相談先の役割や選び方は、相続は誰に相談する?悩み別の相談先にまとめています。

名義預金かもしれないという理由だけで資金を移したり、過去の事実と違う書類を作ったりする前に、経緯を確認しましょう。既に相続税を申告している場合も、そのことを相談時に伝えてください。関連する論点は名義預金の解消方法・時効、現金での生前贈与と記録で説明しています。

相続財産として扱う金額を確認した後、遺産総額に基づく税額の目安を知りたいときは計算シミュレーションを利用できます。計算ツールは、預金の帰属や申告要否を判断するものではありません。

相続財産の金額を確認したら、相続税計算シミュレーションで総額の目安を試算

よくある質問

名義預金とは何ですか?
名義預金とは、口座の名義人と実質的な所有者が異なる預金を指す呼び方です。お金を出した人、管理・運用の状況、贈与の事実などを総合的に確認します。原資を出した人と名義人が違うというだけでは決まりません。
年間110万円以内の入金なら、名義預金にはなりませんか?
入金額だけでは決まりません。暦年課税の基礎控除110万円は、受贈者がその年に贈与により取得した財産の合計額についての制度です。贈与の成立や預金の帰属とは別に確認します。口座ごと・贈与者ごとの枠ではありません。
贈与契約書があれば、名義預金ではないと判断できますか?
契約書は大切な資料ですが、それだけで預金の帰属が決まるわけではありません。当時の合意、入出金、管理・運用などの実態と併せて確認します。資料がない点も含め、税理士・税務署にご相談ください。
親が子の通帳を保管していたら、必ず名義預金ですか?
保管者だけでは決まりません。未成年の子の法定代理人として贈与を受け入れ、子のために管理していた事情が問題となる場合もあります。子の年齢、贈与の合意、管理の目的と経緯を整理して確認します。
名義預金でなければ、相続税の計算には関係しませんか?
贈与により名義人の財産となっていても、税法上の要件により相続税の計算に加算される場合があります。預金が誰の財産かという問題と、成立した贈与を相続税の計算へ加える問題は別に確認します。

一次情報(出典)

初回の出典取得日: 2026-07-23。下記は今回の本文改稿で2026年10月7日に実読した資料です。国税庁のタックスアンサーは各ページの「令和8年4月1日現在法令等」の表示を確認しました。裁決は当時の個別事案であり、すべての家庭へ同じ結論を当てはめるものではありません。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく名義預金に関する一般的な情報の解説であり、税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。名義預金にあたるかどうかは、原資・管理・贈与の成立など個別の事情によって異なり、本ページの内容だけで結論が決まるものではありません。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成や、有利不利・実行可否の判断には対応していません。具体的な判断は、相続に強い税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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