相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁No.4402・No.4429ほかに基づく)

現金手渡しの生前贈与は「ばれる」?——税務署が把握できる理由と、正しい非課税のしかた

結論から言うと、現金を手渡しで贈与しても、贈与が成立することも、年110万円を超えれば課税されることも変わりません。渡し方を手渡しにすれば非課税になる、という制度はありません。相続が起きたときの税務調査などで過去の資金の動きが確認されるため、「手渡しなら把握されない」とは言えません。この記事では、なぜ生前贈与が税務署に把握され得るのかという仕組みと、暦年110万円の非課税枠を正しく使い、贈与契約書や振込で記録を残す方法を、国税庁の一次情報にもとづいて整理します。本ページは税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。

「手渡し」でも贈与は成立し、課税のルールは変わらない

贈与は、あげる人ともらう人の合意があれば成立します。銀行振込でも現金手渡しでも、贈与そのものの成立や税金のルールは変わりません。暦年課税では、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった贈与の合計が110万円を超えれば、超えた部分に贈与税がかかります(国税庁No.4402・No.4408)。渡し方を現金手渡しに変えても、この基本は同じです。

つまり、「手渡しだから非課税」ということはありません。むしろ手渡しは「いつ・いくら・誰から誰へ渡したか」という記録が残りにくく、あとで贈与だったと証明しづらいという弱点があります。証明できないと、贈与ではなく貸付けや預け金、あるいは名義預金と扱われ、かえって不利になることもあります。

出典: 国税庁 No.4402「贈与税がかかる場合」、No.4408「贈与税の計算と税率」(令和7年4月1日現在法令等)。取得日2026-07-22。

なぜ生前贈与は税務署に把握され得るのか

相続税の申告があると、税務署は内容を確認するために、被相続人や家族の預貯金の入出金の流れなどを調べることがあります。過去にまとまった現金が引き出され、その使いみちがはっきりしない場合、生前の贈与や名義預金ではないかが確認の対象になります。手渡しであっても、次のような形で資金の動きはたどられます。

こうした確認は、贈与を「見つけて罰する」ためだけのものではなく、相続財産や名義預金が正しく申告されているかを確かめるためのものです。だからこそ、正しく非課税枠を使い、記録を残しておくことが、あとで「これは正規の贈与だった」と示せる安心につながります。

正しく非課税にする——110万円の枠と、記録の残し方

現金の贈与を正しく非課税の範囲に収めるには、特別な裏技ではなく、正規の枠を使い、記録を残すのが確実です。

  1. 110万円の基礎控除の範囲で贈与する — 1年間にもらった贈与の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です(国税庁No.4402)。110万円は「もらう人1人あたり・1年あたり」の合計で判定します。
  2. あげる人ともらう人で合意し、贈与契約書を作る — 口頭でも贈与は成立しますが、あとで事実を示せるよう、その都度合意して契約書を残しておくのが一般的です。
  3. 手渡しではなく振込で渡す — 銀行振込にすれば、いつ・いくら・誰から誰へ渡したかが記録に残ります。もらう人自身が管理する口座へ移すことが大切です。
  4. 110万円を超える贈与や特例を使うときは申告する — 申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです(国税庁No.4429)。

目的を限定した非課税特例(住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金など)を使う方法もあります。枠の全体像は生前贈与の非課税枠はいくらまで?、進め方は生前贈与のやり方・贈与契約書の書き方で解説しています。

出典: 国税庁 No.4402「贈与税がかかる場合」、No.4429「贈与税の申告と納税」(申告期限は翌年2月1日〜3月15日)。取得日2026-07-22。

やってはいけないこと——「隠す」「名義だけ動かす」は逆効果

現金を渡して申告が必要なのにしない、実際より少なく申告するのは、本来の税金に加えて加算税などがかかる原因になり、悪質な場合はより重い扱いになることもあります(国税庁No.4429)。「手渡しにして記録を残さない」「タンス預金にしておく」といったやり方は、相続財産であることを変えるものではなく、あとで説明できずかえって不利になりかねません。

また、子や孫の名義で口座を作ってお金を入れても、実際にはあげた側が通帳や印鑑を管理していると「名義預金」とみなされ、贈与と認められないことがあります。この場合、その財産は相続のときに相続財産として扱われます。名義を動かすだけでなく、もらった人が自分の財産として管理・使用できる状態にし、契約書と振込の記録を残すことが、正しい贈与の形です。判断に迷うときは、相続・贈与に強い税理士や所轄の税務署にご相談ください。

出典: 国税庁 No.4429「贈与税の申告と納税」(期限内申告・期限後申告等の加算税)。取得日2026-07-22。

🧮 暦年贈与・相続時精算課税・何もしない場合の総額を並べて比べる → 生前贈与シミュレーション

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月22日 / 令和7年4月1日現在法令等):

よくある質問

現金を手渡しで贈与すれば税務署にばれませんか?
手渡しかどうかで贈与が成立するかは変わりません。あげる人・もらう人の合意があれば手渡しでも贈与は成立し、年110万円を超えれば贈与税の対象になります。渡し方を手渡しにしても非課税になるわけではなく、相続が起きたときの税務調査などで過去の資金の動きが確認されるため、「手渡しなら把握されない」とは言えません。贈与を正しく非課税にするには、110万円の基礎控除など正規の枠の範囲で行い、記録を残すことが確実です。
なぜ税務署は生前贈与を把握できるのですか?
相続税の申告があると、税務署は被相続人や家族の預貯金の入出金の流れなどを確認することがあります。過去にまとまった現金が引き出され、その使いみちがはっきりしない場合、生前の贈与や名義預金ではないかが確認されることがあります。手渡しであっても、預金からの引き出しや、もらった側の入金・生活状況から資金の動きがたどられるため、「現金だから分からない」とは言えません。
現金の贈与を正しく非課税にするにはどうすればよいですか?
暦年課税では、1年間にもらった贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず申告も不要です(国税庁No.4402)。この基礎控除の範囲で贈与し、あげる人ともらう人が合意して贈与契約書を作り、手渡しではなく銀行振込など記録が残る形で渡しておくと、贈与の事実を後から示しやすくなります。目的を限定した非課税特例を使う方法もあります。
手渡しでもらった現金は申告が必要ですか?
1年間にもらった贈与の合計が110万円を超える場合は、手渡しかどうかにかかわらず贈与税の申告が必要です。申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです(国税庁No.4429)。申告をしなかったり、実際より少ない額で申告したりすると、本来の税金のほかに加算税がかかることがあります。

生前贈与の全体像は生前贈与とは、非課税の枠は生前贈与の非課税枠はいくらまで?、渡し方と契約書は生前贈与のやり方で解説しています。相続税への持ち戻しは生前贈与加算の7年ルールをどうぞ。贈与税額の目安は贈与税の計算、総額の比較は生前贈与シミュレーションで確認できます。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく現金の生前贈与に関する一般的な情報の解説であり、税負担を不当に逃れる方法を説明するものではありません。金額はいずれも概算・目安であり、実際の税額は財産の評価・贈与や相続の状況・各種控除の適用によって変わります。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成や、有利不利・実行可否の判断には対応していません。贈与や申告の具体的な判断は、相続・贈与に強い税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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