最終更新: (国税庁の令和7年4月1日現在法令等に基づく)
二次相続とは — 一次相続との違い・税額が跳ねる仕組みと対策
二次相続とは、最初に亡くなった方の相続(一次相続)のあと、遺された配偶者も亡くなったときに起こる2回目の相続のことです。二次相続では、法定相続人が配偶者の分だけ減って基礎控除が小さくなり、しかも配偶者の税額軽減が使えないため、子の相続税が一次相続より重くなりやすいという特徴があります。一次相続で配偶者が財産を取り過ぎると、一次相続の税額は下げられても一次・二次の合計では損をすることがある——ここが二次相続を考えるうえで最も大切な視点です。
一次相続と二次相続の違い
同じ「相続」でも、一次相続と二次相続では相続人の数や使える制度が変わります。二次相続では配偶者がいないため、税金の面では不利になりがちです。
| 一次相続(例:父が死亡) | 二次相続(例:母が死亡) | |
| 主な相続人 | 配偶者(母)+子 | 子のみ |
| 法定相続人の数 | 多い(配偶者を含む) | 1人少ない |
| 基礎控除 | 大きい | 600万円小さくなる |
| 配偶者の税額軽減 | 使える(最大1億6,000万円) | 使えない |
| 死亡保険金の非課税枠 | 500万円×人数 | 500万円分小さくなる |
つまり二次相続は、一次相続より「使える控除が少なく、税率も上がりやすい」相続です。だからこそ、一次相続の分け方を二次相続まで見据えて考える必要があります。
なぜ二次相続で税額が跳ねるのか — 3つの要因
二次相続で子の相続税が重くなりやすいのには、はっきりした理由が3つあります。いずれも「配偶者がいなくなること」から生まれます。
- 基礎控除が1人分(600万円)減る。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁 No.4152)。配偶者と子2人の一次相続では48,000,000円ですが、子2人だけの二次相続では42,000,000円になり、6,000,000円小さくなります。控除が減った分、課税される遺産が増えます。
- 配偶者の税額軽減が使えない。一次相続では配偶者が取得した分の相続税を1億6,000万円(または法定相続分)まで軽減できます(国税庁 No.4158)。二次相続には配偶者がいないため、この大きな軽減が一切使えません。
- 財産が合算され、税率が上がりやすい。一次相続で配偶者が引き継いだ財産は、配偶者自身の財産と合わさって二次相続の対象になります。遺産を分ける人数も減るため、累進税率(10%〜55%・国税庁 No.4155)が高い区分に届きやすくなります。
この3つが重なるため、一次相続で配偶者の税額軽減をフルに使うほど二次相続の負担が大きくなる、という構造になっています。
代表例:父の遺産1億6,000万円・母の固有財産なし・子2人
父が亡くなり(一次相続)、その後に母が亡くなる(二次相続)まで通しで、母(配偶者)の取得の仕方だけを変えて比べます。母がもともと持っている財産は0円と仮定します。
| A:母が法定相続分(2分の1)取得 | B:母が全部相続 | |
| 一次相続(父)の相続税 | 8,600,000円(子2人分) | 0円(全額軽減) |
| 母が引き継ぐ財産(=二次相続の遺産) | 8,000万円 | 1億6,000万円 |
| 二次相続(母)の相続税(子2人) | 4,700,000円 | 21,400,000円 |
| 一次+二次の合計 | 13,300,000円 | 21,400,000円 |
母が全部相続すると一次相続は0円で済みますが、二次相続で子2人に21,400,000円かかり、合計では8,100,000円も多くなります。一次相続だけを見て「0円だからお得」と決めると、二次相続で跳ね返るわけです。金額は当サイトの検証済み計算エンジンで算出。より細かい取得割合(0%〜100%)での比較は一次相続で配偶者は何割相続すべきかで、自分のケースの試算は二次相続シミュレーションでどうぞ。
二次相続の負担をやわらげる一般的な考え方
二次相続の対策は、一次相続の段階で「二次相続まで見据えて」考えるのが基本です。よく挙げられるのは次のような一般論です。どれが有利かは家庭ごとに変わるため、具体的な設計は税理士にご相談ください。
- 一次相続での配偶者の取得割合を調整する。配偶者が取り過ぎると二次相続が重くなりがちです。一次・二次の合計で見て取得割合を決める考え方は配偶者は何割相続すべきかで解説しています。
- 生前贈与を活用する。暦年課税や相続時精算課税を使って、生前に少しずつ次の世代へ移す方法があります。制度の概要はトップの計算ツールや贈与税の解説で確認できます。
- 死亡保険金の非課税枠を使う。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります(国税庁 No.4114)。二次相続でも一定の枠が使えます。
- 相次相続控除を確認する。一次相続から10年以内に二次相続が起きた場合、あとの相続の税額から一定額を差し引ける「相次相続控除」という制度があります(国税庁 No.4168)。適用の可否・控除額は個別事情で変わります。
これらはあくまで一般的な選択肢の紹介です。実際にどの方法がどれだけ効くかは、財産の構成・二次相続までの期間・生活資金などで大きく変わります。個別の判断は必ず税理士・税務署にご確認ください。
一次情報(国税庁)
出典(取得日 2026年7月22日 / 令和7年4月1日現在法令等):
よくある質問
二次相続で基礎控除はいくら減りますか?
法定相続人が配偶者の分だけ1人減るため、基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が600万円小さくなります。たとえば配偶者と子2人の一次相続では基礎控除は48,000,000円ですが、配偶者が亡くなり子2人だけになる二次相続では42,000,000円で、差は6,000,000円です。基礎控除が減る分、課税される遺産が増えます。
二次相続でも死亡保険金の非課税枠は使えますか?
使えます。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります(国税庁 No.4114)。ただし二次相続では法定相続人が配偶者の分だけ減るため、非課税枠も500万円分小さくなります。配偶者と子2人なら一次相続の枠は1,500万円、子2人だけの二次相続では1,000万円が上限の目安です。
一人っ子だと二次相続で不利になるのはなぜですか?
子が1人だと二次相続の法定相続人が1人になり、基礎控除が「3,000万円+600万円×1人=3,600万円」まで小さくなるうえ、遺産を分ける相手がいないため累進税率が上がりやすいためです。父の遺産1億6,000万円・母が法定相続分を取得したケースでは、二次相続の相続税は子2人なら4,700,000円ですが、子1人だと6,800,000円になります。
一次相続から10年以内に二次相続が起きた場合、税金は軽くなりますか?
10年以内に続けて相続があった場合、あとの相続(二次相続)の相続税から一定額を差し引ける「相次相続控除」という制度があります(国税庁 No.4168)。前の相続で納めた相続税のうち、経過年数に応じた金額が控除されます。適用の可否や控除額は個別の事情で変わるため、税理士・税務署にご確認ください。
配偶者控除で一次相続を0円にすると損をする仕組みは配偶者控除のデメリット(二次相続)で、配偶者の税額軽減そのものは配偶者の税額軽減とはで解説しています。取得割合を変えた合計税額の比較は二次相続シミュレーション、遺産総額別の一覧は二次相続の早見表でどうぞ。一次相続の目安は相続税計算シミュレーターで計算できます。