相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁No.4161ほかに基づく)

孫への生前贈与とは?——相続税の加算対象になりにくい理由・110万円・教育資金

孫への生前贈与は、暦年110万円の非課税枠が使えるうえ、相続人でない孫は原則として「生前贈与加算」(相続開始前3〜7年の贈与を相続税に足し戻すルール)の対象になりにくい点が、子への贈与と違う大きなポイントです。ただし、遺言による遺贈、生命保険金の受取、相続時精算課税の選択などで孫が財産を取得すると、その孫への贈与も加算の対象になります。この記事では、孫への贈与にかかる税と非課税枠、加算の扱い、教育資金1,500万円の特例を、国税庁の一次情報にもとづいて整理します。

孫への贈与も、基本は「年110万円」まで非課税

贈与税の原則的な計算方法である暦年課税では、孫が1年間(1月1日〜12月31日)に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(国税庁No.4402)。この110万円は「渡す人ごと」ではなく「もらう孫1人あたり・1年あたりの合計」で判定します。祖父から100万円、祖母から100万円を同じ年に受け取れば合計200万円となり、110万円を超えた分が課税対象です。

110万円を超える贈与でも、父母や祖父母(直系尊属)から18歳以上の孫が受けた場合は特例税率が使えます。たとえば500万円の贈与なら、110万円を差し引いた390万円に特例税率を適用して贈与税は48.5万円です(国税庁No.4408の計算例。390万円×15%−10万円=48.5万円)。贈与税額の目安は贈与税の計算贈与税早見表で確認できます。

出典: 国税庁 No.4402「贈与税がかかる場合」、No.4408「贈与税の計算と税率」(令和7年4月1日現在法令等)。取得日2026-07-22。

孫が「相続人でない」場合、生前贈与加算の対象になりにくい

子への暦年贈与では、相続開始前の一定期間(3〜7年)に渡した分が相続税に足し戻されます(生前贈与加算)。ところが、この加算の対象になるのは「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人」です(国税庁No.4161)。

孫は、代襲相続などの事情がなければ相続人ではありません。相続人でない孫が、遺言による遺贈や生命保険金の受取などで財産をいっさい取得しなければ、その孫への暦年贈与は原則として加算の対象になりません。子へ渡すと直近3〜7年分が足し戻されるのに対し、相続人でない孫へ渡した分は足し戻されにくい——これが「孫への贈与」がよく話題になる理由の一つです。

出典: 国税庁 No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」——加算の対象は「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人」(令和7年4月1日現在法令等)。取得日2026-07-22。加算の期間(3→7年)の詳しい表は生前贈与加算の7年ルールで解説しています。

ただし、孫が「財産を取得する」と加算の対象に

前の項は「相続人でない孫が、相続や遺贈で財産を取得しない場合」の話です。次のように孫が財産を取得すると、その孫への暦年贈与も加算の対象になります(国税庁No.4161)。「孫なら常に加算されない」と思い込むと計算を誤るため、注意が必要です。

どのケースに当てはまるか、加算される金額はいくらかは、家族構成や遺産分割、遺言の内容で変わります。有利・不利や実際の取り扱いの判断は、相続に強い税理士にご確認ください。

孫の教育資金なら「1,500万円まで非課税」の特例も

孫の学費などにまとまった額を渡したいときは、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例が使えることがあります。金融機関等との教育資金管理契約を前提に、受贈者(孫)1人あたり1,500万円までが非課税です(国税庁No.4510)。契約締結日に30歳未満であることなどの要件があり、適用できる贈与は令和8年3月31日までです。

この特例は金額が大きい一方、金融機関との契約が必要で、使いきれずに残った分が課税されることや、贈与者が亡くなったときの残額の扱いなど、細かい要件があります。また、そもそも扶養義務者(祖父母など)が必要な都度支払う教育費・生活費は、通常は贈与税の対象になりません。特例を使うべきかどうかは、必ず最新の国税庁情報を確認し、税理士・金融機関にご相談ください。非課税の枠全体は生前贈与の非課税枠はいくらまで?で整理しています。

出典: 国税庁 No.4510「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」——1,500万円、契約締結日に30歳未満、〜令和8年3月31日(令和7年4月1日現在法令等)。取得日2026-07-22。

渡し方の基本は、子への贈与と同じ

孫への贈与でも、あとで「本当に贈与だったか」を証明できるよう、贈与のたびに合意し、贈与契約書を作り、振込など記録が残る形で渡すことが大切です。とくに孫が未成年の場合は親権者が関わります。祖父母が孫名義の口座を作って積み立てても、通帳や印鑑を祖父母が管理し、孫がその存在を知らない・使えないといった状態だと、「名義預金」とみなされ贈与と認められないことがあります。具体的な進め方は生前贈与のやり方・贈与契約書の書き方で解説しています。

なお、孫への贈与を「暦年」で続けるか「相続時精算課税」を使うか、あるいは何もしないかで、生前の贈与税と相続時の相続税を合わせた総額の目安は変わります。ご自身の条件で生前贈与シミュレーションを試したうえで、実際の判断は税理士にご確認ください(このシミュレーションは3案の総額の目安を並べるもので、どれが得かの断定はしません。相続人でない孫の加算の扱いは上記のとおり別に確認が必要です)。

🧮 暦年贈与・相続時精算課税・何もしない場合の総額を並べて比べる → 生前贈与シミュレーション

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月22日 / 令和7年4月1日現在法令等):

よくある質問

孫への生前贈与は相続税の対象になりますか?
生前贈与加算(相続開始前3〜7年の暦年贈与を相続税に足し戻すルール)の対象になるのは、相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人です(国税庁No.4161)。相続人でない孫が、遺言による遺贈や生命保険金の受取などで財産を取得しなければ、その孫への暦年贈与は原則として加算の対象になりません。この点が、相続人である子への贈与と大きく違います。ただし孫が財産を取得する場合は加算の対象になります。
孫への贈与は年間いくらまで非課税ですか?
暦年課税では、孫が1年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です(国税庁No.4402)。110万円は孫1人あたり・1年あたりの合計で判定します。父母や祖父母(直系尊属)から18歳以上の孫が受けた贈与は、110万円を超えた部分に特例税率が適用されます(国税庁No.4408)。
孫の教育資金を一括で贈与できる特例はありますか?
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例があります。金融機関等との教育資金管理契約を前提に、受贈者1人あたり1,500万円までが非課税です(国税庁No.4510)。契約締結日に30歳未満であることなどの要件があり、適用できる贈与は令和8年3月31日までです。使いきれずに残った金額や、贈与者が亡くなったときの残額の扱いなど細かい要件があるため、利用は税理士・金融機関にご確認ください。
どんなときに孫も生前贈与加算の対象になりますか?
孫が相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した場合は、その孫への暦年贈与も加算の対象になります(国税庁No.4161)。具体的には、遺言で孫に財産を遺贈したとき、生命保険金の受取人を孫にしていて保険金を受け取ったとき、孫が代襲相続人として相続人になっているとき、孫が相続時精算課税を選んでいるときなどです。加算されるかどうかは事情により変わるため、税理士にご確認ください。

生前贈与の全体像は生前贈与とは、加算の期間は生前贈与加算の7年ルール、非課税の枠は生前贈与の非課税枠はいくらまで?で解説しています。累計2,500万円の枠を使う制度は相続時精算課税とは、渡し方は生前贈与のやり方をどうぞ。贈与税額の目安は贈与税の計算、総額の比較は生前贈与シミュレーションで確認できます。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく孫への生前贈与に関する一般的な情報の解説です。生前贈与加算の対象になるかどうかや、教育資金などの特例の適用可否・限度額・期限は、家族構成や遺産分割、改正の状況によって変わり、実際の税額は財産の評価・各種控除の適用によって変わる概算・目安です。本サイトは個別の税務相談・税務代理・申告書の作成や、有利不利・実行可否の判断には対応していません。具体的な判断は、相続・贈与に強い税理士または所轄の税務署にご相談ください。
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