相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (民法・裁判所の公表資料にもとづく)

兄弟(姉妹)の相続放棄——順位の繰り上がり・必要書類・熟慮期間

兄弟姉妹は相続の「第3順位」です。子や父母などの先順位の相続人が全員相続放棄をすると、放棄した人は民法939条により「初めから相続人でなかった」とみなされ、相続人の地位が次の順位へ繰り上がっていきます。その結果、兄弟姉妹が相続人になることがあります。兄弟姉妹が放棄する場合は集める戸籍が最も多くなり、期限は「自分が相続人になったと知った時」から3か月です。ここでは、その仕組みと注意点を一般的な情報として整理します。

兄弟姉妹はどんなときに相続人になるのか(順位の繰り上がり)

裁判所の公表資料では、相続放棄の必要書類が相続人の順位によって整理されています。順位は、第1順位が子(およびその代襲者である孫・ひ孫等)第2順位が父母・祖父母などの直系尊属第3順位が兄弟姉妹(およびその代襲者である甥・姪)です。

先の順位の相続人が全員相続放棄をすると、放棄した人は民法939条により「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったもの」とみなされます。その結果、相続人の地位が次の順位の人へと移ります。たとえば、子が全員放棄すると父母などの直系尊属へ、直系尊属もいない・全員放棄すると兄弟姉妹へと繰り上がります。被相続人に借金が多いようなケースでは、放棄が順番に広がっていくことがあります。

出典: e-Gov法令検索「民法」第939条(相続の放棄の効力) / 裁判所「相続の放棄の申述」(必要書類の順位別区分)。取得日2026-07-24。配偶者がいる場合の具体的な扱いなどは事情により異なるため、詳しくは家庭裁判所や専門家にご確認ください。

「知らないうちに相続人になっていた」——期限は知った時から3か月

兄弟姉妹のように後から相続人になる立場では、先順位の相続人が放棄したことを知らないまま時間が過ぎてしまうことがあります。民法915条では、相続放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」と定められています。起算点は「亡くなった日」ではありません。

先順位の相続人が全員放棄したことであとから自分が相続人になったことを知ったようなケースでは、その事実を知った時から3か月と考えられます。ただし、起算日をいつと見るかは個別の事情によって変わります。債権者からの通知などで突然相続人になっていたと知った場合は、判断に迷いやすいため、早めに家庭裁判所や弁護士・司法書士に確認しましょう。

出典: e-Gov法令検索「民法」第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)。取得日2026-07-24。具体的な起算日の判断は事情により異なります。

兄弟の放棄は必要書類が最も多くなる——その理由

相続放棄の申述に必要な戸籍は、相続人の順位が下がるほど多くなります。兄弟姉妹(第3順位)が放棄するときは、「自分より先の順位に相続人がいないこと」を戸籍でたどって示す必要があるためです。裁判所の公表資料による、続柄ごとの必要書類は次のとおりです。

申述人(放棄する人) 主な必要書類(共通書類に加えて)
配偶者被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
子・代襲者(孫等)=第1順位被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(代襲者は本来の相続人の死亡の記載のある戸籍も)
父母・祖父母等の直系尊属=第2順位被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本 ほか(亡くなった子や下の代の直系尊属がいる場合はその戸籍も)
兄弟姉妹・代襲者(甥・姪)=第3順位被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本/亡くなった子(及び代襲者)がいる場合その出生から死亡までの全戸籍/直系尊属の死亡の記載のある戸籍/(甥・姪が申述する場合)本来の相続人である兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍

共通書類は、どの順位でも被相続人の住民票除票または戸籍附票申述人(放棄する人)の戸籍謄本です。兄弟姉妹が放棄する場合は、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍に加え、先順位(子・直系尊属)が相続人にならないことを示す戸籍まで必要になるため、収集する戸籍が最も多くなります。戸籍をどこまで集めればよいかの具体的な範囲・連続性の判断は、実務上むずかしいこともあります。集める戸籍の具体的な範囲は、市区町村の窓口・家庭裁判所・専門家に確認すると安心です。続柄ごとの必要書類の目安は相続放棄の必要書類チェックでも一覧で確認できます(一般的な目安であり、個別の要否を判断するものではありません)。

出典: 裁判所「相続の放棄の申述」(申述人の続柄別の必要書類)。取得日2026-07-24。必要書類は事情や家庭裁判所により異なるため、申述先で必ずご確認ください。

甥・姪(代襲)への影響——放棄では代襲しない

「兄弟が放棄したら、その子(甥・姪)に相続が回ってしまうのでは?」と心配される方がいますが、相続放棄を理由に甥・姪が代わりに相続人になることはありません。兄弟姉妹が相続放棄をすると、その人は民法939条により「初めから相続人とならなかったもの」とみなされるため、放棄を原因とする代襲相続は生じないからです。これは子が放棄しても孫が代襲しないのと同じ考え方です。

一方で、甥・姪が相続人(代襲相続人)になるのは、兄弟姉妹が被相続人より前に亡くなっているなど、放棄とは別の事情がある場合です。このときは甥・姪自身が、相続するか放棄するかを検討することになります。誰が相続人になるかの判断は個別の家族関係によって変わるため、迷う場合は家庭裁判所や弁護士・司法書士にご確認ください。

出典: e-Gov法令検索「民法」第939条(相続の放棄の効力) / 裁判所「相続の放棄の申述」。取得日2026-07-24。ここでは制度の一般的な考え方のみを示しています。

兄弟姉妹が放棄するときの手続きの入口

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出して行います。裁判所の公表資料によると、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに異なる)です。兄弟姉妹の場合は前述のとおり集める戸籍が多いため、3か月の熟慮期間を意識して早めに準備を始めるのが安全です。手続きは本人でも行えますが、戸籍の収集や書類作成に不安があるときは、放棄の申述書類の作成は司法書士、代理や相談全般は弁護士に相談できます。

費用・書類は裁判所や事情により異なるため、申述先の家庭裁判所で必ずご確認ください。出典: 裁判所「相続の放棄の申述」。取得日2026-07-24。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月24日):

よくある質問

兄弟姉妹はどんなときに相続放棄が必要になりますか?
兄弟姉妹は相続の第3順位です。子(第1順位)や父母などの直系尊属(第2順位)といった先順位の相続人が全員相続放棄をすると、放棄した人は民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされ、相続人の地位が次の順位へ移ります。その結果、兄弟姉妹が相続人になり、放棄するかどうかを検討することがあります。被相続人に借金が多い場合などに、順番に放棄が広がっていくケースです。
兄弟の相続放棄で必要書類が多くなるのはなぜですか?
兄弟姉妹(第3順位)が放棄するときは、自分より先の順位の相続人がいないことを戸籍で示す必要があるためです。裁判所の公表資料によると、共通書類(被相続人の住民票除票または戸籍附票・申述人の戸籍謄本)に加えて、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本、亡くなった子や代襲者がいる場合はその出生から死亡までの全戸籍、直系尊属の死亡の記載のある戸籍などが求められます。配偶者や子が放棄する場合より集める戸籍が多くなります。
兄弟が相続放棄すると甥・姪に相続権が移りますか?
移りません。兄弟姉妹が相続放棄をすると、その人は民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされ、放棄を理由に子(甥・姪)が代わりに相続人になる(代襲する)ことはありません。同じ理由で、子が放棄しても孫が代襲することはありません。甥・姪が相続人(代襲相続人)になるのは、兄弟姉妹が被相続人より前に亡くなっているなど、放棄とは別の事情がある場合です。
先順位の人が放棄したと後から知った場合、放棄の期限はいつからですか?
民法915条では、相続放棄の期限は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内とされています。先順位の相続人が全員放棄したことで、あとから自分が相続人になったことを知ったようなケースでは、その事実を知った時から3か月と考えられます。起算日をいつと見るかは個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は家庭裁判所や弁護士・司法書士にご確認ください。

相続放棄の期限(3か月の熟慮期間)と起算日の考え方は相続放棄はいつまで?——3か月の熟慮期間・起算日と注意点で、放棄が「できなくなる・認められない」ケースは相続放棄ができない・認められないのはどんなとき?で解説しています。放棄による「順位の繰り上がり」と、下の世代へ承継される「代襲相続」の違いは相続放棄と代襲相続で整理しています。誰がどの割合で相続人になるかは法定相続分の考え方、必要な戸籍の集め方は相続の戸籍収集もあわせてどうぞ。相続税がかかりそうかどうかの目安は相続税計算シミュレーターで確認できます。

本ページは、民法および裁判所の公表資料にもとづく、兄弟姉妹の相続放棄に関する一般的な情報の解説です。誰が相続人になるか、必要な戸籍の範囲、放棄をすべきかどうかといった具体的な判断は、家族関係や財産・借金の状況によって異なります。本サイトは一般的な制度の解説と概算計算であり、相続放棄の手続き代行や個別の法律相談・法律事務の代理には対応していません。具体的な判断は、家庭裁判所・弁護士・司法書士にご相談ください。
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