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最終更新: (民法の条文にもとづく)

相続放棄すると代襲相続は起こる?——子が放棄しても孫は相続しない理由

相続放棄をしても、代襲相続は起こりません。「自分が相続放棄をしたら、その借金が子(孫)に回ってしまうのでは?」と心配される方は多いのですが、子が放棄しても孫が代わりに相続人になることはなく、兄弟姉妹が放棄しても甥・姪が代わりに相続人になることはありません。相続放棄をした人は民法939条により「初めから相続人でなかった」とみなされ、放棄は代襲の原因にはならないためです(民法887条)。ここでは、放棄で代襲が起こらない理由と、放棄と混同しやすい「順位の繰り上がり」との違いを、条文の一次情報にもとづいて整理します。

結論——放棄した人は「初めから相続人でなかった」とみなされる(民法939条)

代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人に代わって、その子(孫・甥・姪など下の世代)が相続人になる仕組みです。相続放棄でこの代襲が起こらないのは、放棄の効力を定めた民法939条の考え方によります。

民法939条は「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」と定めています。「初めから相続人でなかった」とみなされる結果、その人を起点とした代襲(下の世代への引き継ぎ)も生じません。つまり、子が相続放棄をしても孫は代襲せず、兄弟姉妹が相続放棄をしても甥・姪は代襲しない——放棄した人の子や孫に、放棄を理由として相続(借金を含む)が自動的に回ることはない、というのが基本の考え方です。

出典: e-Gov法令検索「民法」第939条(相続の放棄の効力)。取得日2026-07-24。本ページは制度の一般的な情報の解説で、誰が相続人になるかの個別の判断はお示しできません。

代襲が起こるのは「死亡・欠格・廃除」の場合(民法887条2項)——放棄は含まれない

では、代襲相続はどんなときに起こるのでしょうか。民法887条2項は、代襲が生じる原因を次のように定めています。

「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。」(民法887条2項)

この条文が定める代襲の原因は、①相続の開始以前に死亡したとき、②相続欠格(民法891条)に該当したとき、③廃除によって相続権を失ったときの3つです。ここに「相続放棄」は含まれていません。相続放棄は民法939条で「初めから相続人とならなかったものとみなす」と別に定められており、代襲の原因である死亡・欠格・廃除とは区別されています。だから、放棄では代襲が起こらないのです。

相続人になるはずの人に起きたこと その子(孫・甥姪)への代襲 根拠
被相続人より前に死亡していた代襲する(起こる)民法887条2項
相続欠格に該当した代襲する(起こる)民法887条2項・891条
廃除によって相続権を失った代襲する(起こる)民法887条2項
相続放棄をした代襲しない(起こらない)民法939条(初めから相続人でなかったとみなす)

出典: e-Gov法令検索「民法」第887条(子及びその代襲者等の相続権)・第939条(相続の放棄の効力)。取得日2026-07-24。欠格・廃除にあたるかどうかの個別の判断はお示しできません。

混同注意——放棄で起こるのは「代襲」ではなく「順位の繰り上がり」

相続放棄で「借金が別の親族に回った」という話を聞くことがありますが、これは代襲相続ではなく「順位の繰り上がり」です。2つは向きが違います。

つまり、あなたが放棄しても、あなたの子や孫に相続が回ることはありませんが、別の順位の親族(あなたの親や兄弟姉妹など)が新たに相続人になることはあります。借金を理由に放棄する場合は、次に相続人になりうる親族にも早めに知らせておくと、思わぬトラブルを避けやすくなります。兄弟姉妹が順位の繰り上がりで相続人になったときの手続きや必要書類は、兄弟(兄弟姉妹)の相続放棄で詳しく解説しています。

出典: e-Gov法令検索「民法」第887条・第889条・第939条。取得日2026-07-24。誰が相続人になるかは家族関係により異なります。

📋 配偶者・子・親・兄弟…続柄を選ぶだけで、相続放棄の申述に必要な書類の目安がわかる → 相続放棄の必要書類チェック

よくある質問(FAQ)

相続放棄をすると孫や甥・姪に相続が移りますか?
移りません。相続放棄をした人は、民法939条により「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる」ため、放棄を理由に子(孫・甥・姪)が代わりに相続人になる代襲相続は起こりません。子が放棄しても孫は代襲せず、兄弟姉妹が放棄しても甥・姪は代襲しません。放棄によって借金などが下の世代に自動的に回ることはない、というのが基本的な考え方です。
代襲相続が起こるのはどんなときですか?
民法887条2項は、被相続人の子が「相続の開始以前に死亡したとき」「相続欠格(民法891条)に該当したとき」「廃除によって相続権を失ったとき」に、その者の子が代襲して相続人になると定めています。つまり代襲が生じるのは死亡・欠格・廃除の3つの場合で、相続放棄はこれに含まれません。相続放棄は民法939条で「初めから相続人とならなかったものとみなす」とされ、代襲の原因とは区別されています。
「順位の繰り上がり」と代襲相続は同じことですか?
別のものです。代襲相続は、亡くなった相続人などの子(孫・甥・姪)が「下の世代へ」相続人の地位を引き継ぐ仕組みです。一方、相続放棄で起こるのは「順位の繰り上がり」で、たとえば子が全員放棄すると第2順位の父母などの直系尊属へ、直系尊属もいなければ第3順位の兄弟姉妹へと、相続人になる人が別の順位へ移ります。放棄では下の世代への代襲は起こらず、次の順位の人が新たに相続人になる点が違いです。
親が相続放棄したら、その孫である私は何かする必要がありますか?
親(被相続人の子)が相続放棄をしても、その子である孫に代襲相続は起こらないため、放棄を理由に孫が相続人になることはなく、孫が改めて放棄の手続きをする必要は原則としてありません。ただし、あなた自身が別の立場で相続人にあたる場合(たとえば被相続人の子が先に亡くなっていて代襲相続人になっている場合など)は状況が異なります。誰が相続人になるかは家族関係によって変わるため、迷う場合は家庭裁判所や弁護士・司法書士にご確認ください。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月24日):

相続放棄の全体像(効果・熟慮期間・注意点)は相続放棄とは?、兄弟姉妹が順位の繰り上がりで相続人になったときの手続き・必要書類は兄弟(兄弟姉妹)の相続放棄で解説しています。誰がどの割合で相続人になるかは法定相続分の考え方もあわせてどうぞ。相続税がかかりそうかどうかの目安は相続税計算シミュレーターで確認できます。

本ページは、民法の条文にもとづく、相続放棄と代襲相続に関する一般的な情報の解説です。誰が相続人になるか、代襲や順位の繰り上がりが生じるか、欠格・廃除にあたるかといった具体的な判断は、家族関係や個別の事情によって異なります。本サイトは一般的な制度の解説と概算計算であり、相続放棄の手続き代行や個別の法律相談・法律事務の代理には対応していません。具体的な判断は、家庭裁判所・弁護士・司法書士にご相談ください。
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