最終更新: (国税庁No.7191ほかに基づく)
不動産(土地・建物)の生前贈与とは?——かかる税金・登録免許税・相続との違い
不動産を生前贈与すると、もらった人の贈与税に加えて、名義変更の登録免許税と不動産取得税がかかります。とくに登記の登録免許税は、相続による移転が0.4%(1,000分の4)なのに対し、贈与による移転は2%(1,000分の20)と高く、相続で引き継ぐより負担が重くなりやすい点に注意が必要です(国税庁No.7191)。この記事では、不動産の生前贈与にかかる税金の種類、相続との違い、贈与税がかかる「評価額」のしくみ、相続時精算課税を使う場合の注意点を、国税庁の一次情報にもとづいて整理します。
不動産の生前贈与でかかる「3つの税金」
現金の贈与とちがい、不動産の生前贈与では複数の税金がかかります。主なものは次の3つです。
- 贈与税 — もらった人にかかります。不動産の評価額から基礎控除110万円を差し引いた残りに課税されます(暦年課税の場合。国税庁No.4408)。
- 登録免許税 — 名義を変える登記のときにかかる国税です。贈与による所有権移転は、土地・建物とも1,000分の20(2%)です(国税庁No.7191)。
- 不動産取得税 — 不動産を取得したときにかかる都道府県税です。贈与による取得ではかかるのが原則です。税率や取り扱いは都道府県で定められているため、都道府県の窓口・税理士でご確認ください。
このように、不動産の贈与では贈与税以外の負担も見込む必要があります。金額の目安を考えるときは、これらを合わせて確認することが大切です。
出典: 国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」(贈与による所有権移転=1,000分の20)、No.4408「贈与税の計算と税率」(基礎控除110万円)。取得日2026-07-22。不動産取得税は都道府県税(税率・取り扱いは都道府県による)。
相続で引き継ぐ場合との「税率の違い」
同じ不動産でも、生前に贈与するか、亡くなったあとに相続で引き継ぐかで、名義変更にかかる税負担が変わります。登記の登録免許税の税率は次のとおりです(国税庁No.7191)。
| 名義変更の原因 | 登録免許税の税率(土地・建物の所有権移転) |
|---|---|
| 相続による移転 | 1,000分の4(0.4%) |
| 贈与による移転 | 1,000分の20(2%) |
このように、登録免許税だけを見ても贈与は相続の5倍の税率です。さらに、相続では原則としてかからない不動産取得税が、贈与ではかかるのが原則です(税率・取り扱いは都道府県による)。一方で、生前に贈与しておけば将来の相続財産を減らせる面や、値上がりが見込まれる不動産を早めに移すといった考え方もあります。どちらが有利かは、評価額・相続人の構成・相続の時期・ほかの財産の状況などで変わり、一概には言えません。実際の判断は税理士にご確認ください。
出典: 国税庁 No.7191「登録免許税の税額表」(相続による移転=1,000分の4、贈与その他の原因による移転=1,000分の20。土地・建物とも本則税率)。取得日2026-07-22。
贈与税がかかる「評価額」のしくみ
不動産の贈与税は、渡した不動産の評価額に対して計算します。土地は路線価方式または倍率方式などで評価し、建物は固定資産税評価額が使われるのが一般的です。実際に売買される価格(時価)とは異なり、評価の方法が決まっています。土地の評価のしくみは相続税の土地の評価とは(路線価・評価のしくみ)で解説しています(相続税の記事ですが、贈与税でも土地の評価の考え方は共通します)。
評価額が決まれば、そこから基礎控除110万円を差し引いた残りに贈与税がかかります(暦年課税の場合)。贈与税額そのものの目安は贈与税の計算で確認できますが、不動産の評価額は個別の事情で変わるため、正確な評価と税額は税理士にご確認ください。
出典: 国税庁 No.4408「贈与税の計算と税率」(基礎控除110万円)。土地の評価方法は相続税の土地の評価とはを参照。取得日2026-07-22。
相続時精算課税を使って不動産を贈与するときの注意
まとまった評価額になりやすい不動産では、累計2,500万円までの特別控除が使える相続時精算課税が検討されることがあります。ただしこの制度は「贈与時に贈与税がかからない(または軽くなる)」だけで、贈与した財産は相続時に相続財産へ持ち戻して相続税を計算する繰り延べの制度です。持ち戻す価額は原則として贈与時の価額で、しくみと注意点は相続時精算課税とはで詳しく解説しています(国税庁No.4103)。
相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税へ戻せないなど、金額に表れない制約もあります。不動産を「暦年で贈与する」「相続時精算課税を使う」「相続まで動かさない」で総額の目安がどう変わるかは、生前贈与シミュレーションで3案を並べて確認できます(どれが得かの断定はしません。登録免許税・不動産取得税はこのシミュレーションには含まれないため、別に見込む必要があります)。実際の選択は税理士にご相談ください。
出典: 国税庁 No.4103「相続時精算課税の選択」(特別控除2,500万円・超過分一律20%・相続時に贈与時の価額で持ち戻し)。取得日2026-07-22。
名義変更(登記)は司法書士へ
不動産を贈与したら、法務局で所有権移転の登記(名義変更)を行います。登記をしておかないと、あとで権利関係がはっきりせずトラブルのもとになります。登記の手続きは専門的で、書類の作成や申請の代理は司法書士の業務です。手続きの進め方や必要書類、費用は司法書士にご相談ください。当サイトは登記の個別手続きの指導や、書類作成の代行は行いません。なお、居住用不動産を配偶者へ贈与する場合の特例などもありますが、要件や金額は改正されることがあるため、適用できるかは税理士・税務署にご確認ください。
一次情報(出典)
出典(取得日 2026年7月22日 / 令和7年4月1日現在法令等):
- 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表 — 土地・建物の所有権移転:相続による移転1,000分の4、贈与その他の原因による移転1,000分の20
- 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) — 基礎控除110万円・税率
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択 — 特別控除2,500万円・超過分一律20%・相続時に贈与時の価額で持ち戻し
- 不動産取得税は都道府県が課す税(地方税)です。税率や取り扱いは都道府県によって定められています。詳しくは各都道府県の窓口・税理士にご確認ください。
よくある質問
- 不動産を生前贈与するとどんな税金がかかりますか?
- 主に3つあります。1つ目はもらった人にかかる贈与税(不動産の評価額に対して計算)、2つ目は名義変更の登記にかかる登録免許税、3つ目は不動産取得税(都道府県税)です。登録免許税は、贈与による所有権移転が土地・建物とも1,000分の20(2%)です(国税庁No.7191)。不動産取得税は都道府県が課す税で、贈与による取得ではかかるのが原則です。税率や取り扱いは都道府県で定められているため、詳しくは税理士・司法書士や都道府県の窓口にご確認ください。
- 不動産は相続と生前贈与でどちらが税金の負担が少ないですか?
- 一概には言えません。登記の登録免許税は、相続による移転が1,000分の4(0.4%)なのに対し、贈与による移転は1,000分の20(2%)と高くなります(国税庁No.7191)。また相続では原則としてかからない不動産取得税が、贈与ではかかるのが原則です。一方で、生前に贈与しておくことで将来の相続財産を減らせる面もあります。贈与税・相続税・登録免許税・不動産取得税を合わせた負担は、評価額・相続人の構成・相続の時期などで変わるため、税理士にご確認ください。
- 生前贈与した不動産の名義変更はどうすればよいですか?
- 不動産を贈与したら、法務局で所有権移転の登記(名義変更)を行います。登記には登録免許税がかかります。登記の手続きは専門的で、書類の作成や申請の代理は司法書士の業務です。手続きの進め方や必要書類は、司法書士にご相談ください。当サイトは登記の個別手続きの指導は行いません。
- 不動産の贈与税はいくらの金額に対してかかりますか?
- 贈与税は、渡した不動産の「評価額」に対して計算します。土地は路線価方式または倍率方式などで評価し、建物は固定資産税評価額が使われるのが一般的です。評価額から基礎控除110万円を差し引いた残りに贈与税がかかります。土地の評価のしくみは当サイトの相続税の土地の評価の記事で解説していますが、実際の評価額は個別の事情で変わるため、税理士にご確認ください。
生前贈与の全体像は生前贈与とは、土地の評価は相続税の土地の評価とはで解説しています。累計2,500万円の枠を使う制度は相続時精算課税とは、相続税への持ち戻しは生前贈与加算の7年ルール、渡し方は生前贈与のやり方をどうぞ。贈与税額の目安は贈与税の計算、総額の比較は生前贈与シミュレーションで確認できます。