相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁No.4124に基づく)

小規模宅地等の特例とは?——自宅の土地が最大80%減額される仕組みをわかりやすく

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人が住んでいた・事業に使っていた土地について、一定の面積まで相続税の評価額を最大80%減らせる制度です(国税庁No.4124)。自宅の土地なら330㎡まで80%減額。相続税がかかるかどうかの分かれ目になることも多い、影響の大きい制度です。ここでは「どの土地が・どれだけ・どうやって」減るのかを、条文と国税庁の一次情報にもとづいて整理します。

「実家の土地に相続税がかかるのでは」——まず結論

親が亡くなり、残された財産の大半が「実家の土地」というケースは少なくありません。土地は評価額が大きくなりがちで、「このままでは相続税が払えないのでは」「家を売らないといけないのか」と不安になる方も多いはずです。

こうした負担をやわらげるために設けられているのが小規模宅地等の特例です。被相続人などが住んでいた土地・事業に使っていた土地について、一定の面積までは相続税の課税価格を計算するときに評価額を大きく減額できます(租税特別措置法69条の4、国税庁No.4124)。自宅の土地(特定居住用宅地等)なら、330㎡までの部分の評価額が80%減。たとえば評価額7,260万円の土地が、この特例で1,452万円として扱えるケースもあります(後述の計算例)。

出典: 国税庁 No.4124「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」。取得日2026-07-22。

対象は3類型——限度面積と減額割合の一覧

小規模宅地等の特例には、大きく分けて次の3つの類型があります。どの類型かで、減額できる面積の上限(限度面積)と減額割合が変わります(国税庁No.4124)。

宅地の類型どんな土地か限度面積減額割合
特定居住用宅地等被相続人などが住んでいた自宅の土地330㎡80%
特定事業用等宅地等被相続人などが事業に使っていた土地(特定同族会社の事業用を含む)400㎡80%
貸付事業用宅地等アパート・貸家・貸駐車場など、貸付事業に使っていた土地200㎡50%

国税庁No.4124の内部区分では、特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等・貸付事業用宅地等・特定居住用宅地等に細分されます。ここでは「特定事業用等(400㎡/80%)・特定居住用(330㎡/80%)・貸付事業用(200㎡/50%)」の3系統に整理しています。出典: 国税庁 No.4124。取得日2026-07-22。

どれだけ下がる?——計算のしくみと計算例

減額される金額は、次の考え方で決まります。宅地の面積が限度面積以下なら、「評価額 × 減額割合」がそのまま減額額です。限度面積を超える場合は、限度面積までの分だけが対象になり、「評価額 ×(限度面積 ÷ 宅地の面積)× 減額割合」で按分します(相続税申告書 付表1の計算方法)。

下の金額は、当サイトの検証済み計算エンジンで算出した目安です(手入力の数字ではありません)。設例1は国税庁の入力例と同じ数値です。

設例1(限度面積以下):特定居住用・330㎡・評価額7,260万円

330㎡は限度面積(330㎡)以下なので全体が対象。減額される金額は 7,260万円 × 80% = 5,808万円。課税価格に算入する減額後の評価額は 7,260万円 − 5,808万円 = 1,452万円(国税庁の入力例と同じ数値)。

設例2(限度面積を超える場合):特定居住用・400㎡・評価額1億円

400㎡は限度面積(330㎡)を超えるため按分します。減額される金額は 1億円 ×(330㎡ ÷ 400㎡)× 80% = 6,600万円。減額後の評価額は 1億円 − 6,600万円 = 3,400万円。限度面積を超えた70㎡分は減額の対象になりません。

設例3(貸付事業用):200㎡・評価額6,000万円

貸付事業用は200㎡まで50%減額。減額される金額は 6,000万円 × 50% = 3,000万円。減額後の評価額は 3,000万円です。

計算例の金額は当サイトの検証済み計算エンジンで算出。設例1の数値は国税庁「相続税の申告要否判定コーナー」の入力例(自用地 路線価220,000円×330㎡=72,600,000円、特例適用後14,520,000円)と一致します。出典: 国税庁 No.4124、相続税申告書 第11・11の2表の付表1。取得日2026-07-22。

🧮 あなたの土地の減額後の評価額を計算する → 小規模宅地等の特例 減額計算

誰が使える?——取得者によって要件が変わる

特に注意が必要なのが、「誰がその土地を相続したか」で適用の可否が変わる点です。自宅の土地(特定居住用宅地等)では、取得者ごとに次のような要件があります。

配偶者:取得者ごとの追加要件はありません(取得するだけで対象)。

同居していた親族:相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその建物に居住し、その宅地を保有し続けることが必要です。

別居の親族(いわゆる「家なき子」):6つの要件をすべて満たす場合に限り対象になります。

同居親族や家なき子の要件は細かく、実際に適用できるかどうかの判断は個別の事情で大きく変わります。取得者別の要件と、家なき子の6要件の中身は、小規模宅地等の特例の要件——同居親族・家なき子をわかりやすくでくわしく整理しています。

出典: 国税庁 No.4124(特定居住用宅地等の取得者別の要件)。取得日2026-07-22。

「申告して初めて使える」特例——申告期限に注意

小規模宅地等の特例で見落とされがちなのが、この特例は申告が要件だという点です。原則として相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)までに相続税の申告書を提出し、この特例を適用する旨や計算の明細などを記載・添付する必要があります。

重要なのは、特例を適用した結果、納める相続税が0円になる場合でも、申告そのものは必要だということです。「特例で税額が0になるから申告しなくてよい」わけではありません。また、申告期限までに遺産分割が終わっていない(未分割の)土地は、原則としてその時点では特例を適用できません(申告期限後3年以内の分割見込みなど、所定の手続きにより後から適用できる場合があります)。未分割のときの取り扱いは手続きが細かいため、税理士にご確認ください。

出典: 国税庁 No.4124(申告要件・申告期限までの分割)。取得日2026-07-22。申告期限の一般的な期日は相続税の申告期限もご参照ください。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月22日):

よくある質問

小規模宅地等の特例とは何ですか?
小規模宅地等の特例とは、被相続人などが住んでいた土地や事業に使っていた土地について、一定の面積までは相続税の課税価格を計算するときに評価額を大きく減額できる制度です(租税特別措置法69条の4、国税庁No.4124)。減額の割合と限度面積は、特定居住用宅地等が330㎡まで80%、特定事業用等宅地等が400㎡まで80%、貸付事業用宅地等が200㎡まで50%です。宅地の面積が限度面積を超える部分は減額の対象になりません。
小規模宅地等の特例でどのくらい相続税評価額が下がりますか?
特定居住用宅地等(自宅の土地)なら330㎡までの部分について評価額の80%が減額されます。たとえば330㎡・評価額7,260万円の自宅の土地なら、5,808万円が減額され、課税価格に算入する価額は1,452万円になります(国税庁の入力例の数値)。面積が限度面積を超える場合は、限度面積までの分だけが按分で減額されます。
小規模宅地等の特例を使うために申告は必要ですか?
はい。小規模宅地等の特例は、原則として相続税の申告期限までに申告書を提出し、この特例を適用する旨や計算明細などを記載・添付することが要件です。特例を適用した結果、納める相続税が0円になる場合でも、申告そのものは必要です。適用の可否や必要書類は個別の事情で変わるため、税理士にご確認ください。
小規模宅地等の特例は誰が使えますか?
特定居住用宅地等では、被相続人の配偶者は取得者ごとの追加要件なしで対象になります。同居していた親族は、相続開始の直前から申告期限まで居住と保有を続けることが必要です。別居の親族(いわゆる家なき子)は6つの要件をすべて満たす場合に限られます。誰が取得したかで適用の可否が変わるため、実際に使えるかどうかは税理士にご確認ください。

自分の土地の減額後の評価額の目安は小規模宅地等の特例 減額計算で確認できます。適用要件(同居親族・家なき子)のくわしい解説は小規模宅地等の特例の要件で、評価額のもとになる路線価の調べ方は相続税の土地の評価とはで解説しています。誰に相談すればよいか迷うときは相続は誰に相談する?を、相続税全体の目安は相続税計算シミュレーターでどうぞ。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく、小規模宅地等の特例に関する一般的な情報の解説です。実際にこの特例を適用できるかどうか(取得者の要件、居住・保有の継続、家なき子の要件の該当性、複数の宅地の併用や限度面積の調整など)は個別の事情によって大きく変わり、表示の金額はあくまで目安です。土地の評価額そのもの(路線価×各種補正・倍率地域の評価)は本ページの計算には含まれません。本サイトは一般的な制度の解説と概算計算であり、個別の税務相談・税務代理・申告書の作成には対応していません。適用の可否と土地の評価、申告の要否は、相続に強い税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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