相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (国税庁の令和7年4月1日現在法令等・質疑応答事例は令和7年8月1日現在の法令通達等に基づく。取得日2026年7月24日)

準確定申告の医療費控除・還付——死亡前後の区別と還付金の扱い

準確定申告で医療費控除の対象になるのは、「死亡の日までに被相続人(亡くなった方)が支払った医療費」だけです。死亡後に相続人が支払った分は、準確定申告では対象にできません。ただし、治療を受けた時に生計を一にしていた相続人がいれば、その相続人自身の確定申告で医療費控除の対象にできます(国税庁 No.2022・質疑応答事例)。また、準確定申告で戻る還付金は相続財産(相続税の対象)還付金に付く還付加算金は相続人の雑所得という区別があります。この「死亡の前後」と「還付金と加算金の別」を、一次情報にもとづいて整理します。

結論——医療費は「いつ・だれが支払ったか」で扱いが変わる

支払った時期・人準確定申告(被相続人)相続人自身の確定申告
死亡の日までに被相続人が支払った医療費控除の対象になる
死亡後に相続人が支払った(治療時に生計を一にしていた場合)対象にできないその相続人の医療費控除の対象にできる
死亡後に相続人が支払った(生計を一にしていない場合)対象にできない一般には対象にしにくい(個別に要確認)

出典: 国税庁 No.2022(所得控除の適用)、質疑応答事例(死亡した人の医療費と医療費控除)。取得日2026-07-24。医療費控除は、その年中に実際に支払われた金額に限られ、未払の分は現実に支払われるまで対象になりません(所得税基本通達73-2)。

① なぜ「死亡後に支払った医療費」は準確定申告で使えないのか

医療費控除の対象になる医療費は、その年中に実際に支払われた金額に限られます。未払の医療費は、現実に支払われるまで医療費控除の対象になりません(所得税基本通達73-2)。このため、被相続人の死亡後に支払われた医療費は、たとえ相続財産から支払った場合でも、「被相続人が支払った」ことにはならないので、被相続人の準確定申告で医療費控除の対象にすることはできません(国税庁 質疑応答事例)。

出典: 国税庁 質疑応答事例(死亡した人の医療費と医療費控除)、所得税基本通達73-1・73-2。取得日2026-07-24。

② 死亡後に払った入院費は、生計を一にする相続人の確定申告で使える場合がある

では死亡後に相続人が支払った入院費などはどうなるのでしょうか。国税庁の質疑応答事例は、次のように整理しています。医療費を支出すべき事由が生じた時(=その医療費のもとになった治療等を被相続人が受けた時)に、被相続人と生計を一にしていた相続人がいれば、その医療費はその相続人自身の確定申告で医療費控除の対象にできる、というものです。

たとえば、父の入院中の治療について、父の死亡後に長男が病院から請求されて支払ったケースでは、治療を受けた時に父と長男が生計を一にしていれば、その医療費は長男の医療費控除の対象になり得ます。生計を一にしていたかどうかなどの事実によって扱いが変わるため、個別の判断は税務署または税理士にご確認ください。

出典: 国税庁 質疑応答事例(死亡した人の医療費と医療費控除=生計を一にする相続人の医療費控除)。取得日2026-07-24。

③ 医療費以外の所得控除も「死亡の日まで」が基準

準確定申告における所得控除は、医療費控除と同じ考え方が基本です(国税庁 No.2022)。

なお、令和7年12月1日に施行された「特定親族特別控除」についても、控除額の月割計算等は行いません(令和7年分以後の所得税に適用)。制度は改正されることがあるため、最新の取り扱いは税務署または税理士にご確認ください。

出典: 国税庁 No.2022(準確定申告における所得控除の適用)。取得日2026-07-24。

④ 還付になるケースと、還付金・還付加算金の違い

被相続人が予定納税をしていた年金や給与から源泉徴収された所得税が年税額より多かった多額の医療費を支払っていたといった場合、準確定申告で還付になることがあります(国税庁 No.2030=還付申告)。このとき、戻ってくるお金には税務上の扱いが異なる2つのものがあります。

戻ってくるお金性質税務上の扱い
還付金(還付金請求権)被相続人に潜在的に帰属していた請求権が、死亡により顕在化したもの本来の相続財産 → 相続税の課税対象
還付加算金相続人が申告書の提出によって原始的に取得するもの相続人の所得税(雑所得) → 相続税の課税価格には算入しない

つまり、還付金そのものは相続財産として相続税の計算に含め還付金に付く還付加算金は受け取った相続人の雑所得として扱う、という区別です(国税庁 質疑応答事例)。取り違えやすい点なので、相続税の申告が必要になりそうな場合は、この扱いを税務署または税理士にご確認ください。

出典: 国税庁 No.2030(還付申告)、質疑応答事例(被相続人の準確定申告に係る還付金等)。関係法令通達=所得税法第125条第2項・国税通則法第58条・所得税基本通達35-1(4)。取得日2026-07-24。

還付金が相続財産に含まれる結果、相続税がかかりそうかどうかの目安は、相続税計算シミュレーター(トップ)で概算を確認できます。準確定申告の必要書類は準確定申告の必要書類で解説しています。

よくある質問(FAQ)

準確定申告で医療費控除の対象になるのはどの医療費ですか?
準確定申告で医療費控除の対象になるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費です。死亡後に相続人等が支払った医療費は、たとえ相続財産から支払った場合でも、被相続人の準確定申告では医療費控除の対象にできません(国税庁 No.2022・質疑応答事例)。医療費控除は、その年中に実際に支払われた金額に限られ、未払の分は現実に支払われるまで対象になりません。
死亡後に支払った入院費は誰の医療費控除になりますか?
被相続人の死亡後に相続人が支払った医療費は、被相続人の準確定申告では対象にできません。ただし、その治療等を受けた時に被相続人と生計を一にしていた相続人がいれば、支払った相続人自身の確定申告で医療費控除の対象にできます(国税庁 質疑応答事例)。どちらで扱えるかは生計を一にしていたかなどの事実により異なるため、税務署または税理士にご確認ください。
準確定申告の還付金は相続税の対象になりますか?
準確定申告によって受け取る還付金(還付金請求権)は、本来の相続財産として相続税の課税対象になります。潜在的な請求権が被相続人に帰属しており、死亡により顕在化したものと考えられるためです。一方、還付金に付く還付加算金は、相続人が申告書の提出によって原始的に取得するもので、所得税(雑所得)の対象となり、相続税の課税価格には算入されません(国税庁 質疑応答事例)。
社会保険料や生命保険料の控除も同じ考え方ですか?
はい。社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除は、いずれも死亡の日までに被相続人が支払った(支出した)分が対象です。配偶者控除や扶養控除などの適用の有無は死亡の日の現況で判定し、控除額の月割計算は行いません(国税庁 No.2022)。個別の控除の可否は税務署または税理士にご確認ください。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月24日 / タックスアンサーは令和7年4月1日現在法令等、質疑応答事例は令和7年8月1日現在の法令通達等):

準確定申告の全体像は準確定申告とは?、必要書類は準確定申告の必要書類、e-Taxでの提出は準確定申告のe-Taxで解説しています。還付金が相続財産に含まれる相続税の申告期限は相続税の申告期限、相続手続き全体の流れは相続手続きの順番をどうぞ。

本ページは、国税庁の公表資料にもとづく準確定申告の医療費控除・還付に関する一般的な情報の解説です。本サイトは一般的な制度の解説であり、個別の税務相談・税務代理・申告書の作成には対応していません。申告書の作成の代行や、特定の専門家・事務所の紹介やあっせんも行っていません。医療費控除の可否、還付になるかどうか、還付金・還付加算金の具体的な取り扱いなど、個別の申告要否・税額・還付の有無は、税務署または税理士にご確認・ご相談ください。
相続税計算ナビのトップ(相続税計算)へ