相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (民法の条文にもとづく)

遺留分とは?——もらえる人・割合・計算方法をやさしく解説

遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に法律で保障された、遺産の最低限の取り分です。被相続人が「全財産を一人に」と遺言しても、配偶者・子・直系尊属(父母など)には最低限の割合が残ります(民法1042条)。一方で兄弟姉妹には遺留分がありません。ここでは、遺留分が「誰に・どれくらい」あるのか、割合の一覧と計算のしかたを、条文にもとづいて整理します。

遺留分とは——遺言でも奪えない「最低限の取り分」

人は原則として、自分の財産を遺言で自由に処分できます。しかし、残された家族の生活などを守るため、民法は一定の相続人に「遺留分」=最低限の取り分を保障しています(民法1042条)。たとえば「全財産を長男に相続させる」という遺言があっても、配偶者や他の子は、自分の遺留分にあたる分については取り戻しを求めることができます。

注意したいのは、遺留分を侵す遺言も、それだけで無効になるわけではないという点です。遺言の効力は原則として有効なまま、遺留分を持つ人が、侵された分の金銭の支払を請求できるという仕組みになっています(2019年7月1日施行の改正後。くわしくは後述)。

出典: e-Gov法令検索「民法」第1042条。取得日2026-07-22。

遺留分がある人・ない人——兄弟姉妹には遺留分がない

遺留分を持つのは、次の相続人です。民法1042条1項が「兄弟姉妹以外の相続人」と定めているためです。

遺留分がある人:配偶者 / 子(亡くなっている場合は孫などの代襲相続人)/ 直系尊属(父母、いなければ祖父母)

遺留分がない人:兄弟姉妹(およびその代襲相続人である甥・姪)

このため、相続人が兄弟姉妹だけのケース(子も親もなく、配偶者もいない場合など)では、遺言で全財産を第三者に渡しても、遺留分の問題は生じません。逆に、配偶者や子がいる場合は、遺言の内容にかかわらず最低限の割合が保障されます。誰が相続人になるかは法定相続人の考え方とも関わるため、あわせて確認しておくと整理しやすくなります。

出典: e-Gov法令検索「民法」第1042条第1項。取得日2026-07-22。

遺留分の割合——「総体的遺留分」と「個別的遺留分」

遺留分の割合は、二段階で決まります。まず相続人全体で見た遺留分(総体的遺留分)は、直系尊属だけが相続人のときは遺産の3分の1、それ以外の場合は2分の1です(民法1042条1項)。次に、これに各相続人の法定相続分をかけたものが、その人が実際に持つ個別的遺留分になります(同条2項)。

下の表は、代表的な相続人構成ごとの遺留分割合と、遺留分算定基礎財産が6,000万円だった場合の1人あたりの目安額です。金額は当サイトの検証済み計算エンジンで算出しています(手入力の数字ではありません)。

相続人の構成総体的遺留分各相続人の個別的遺留分(割合/6,000万円での目安額)
配偶者 + 子1人2分の1配偶者=1/4(1,500万円)/子=1/4(1,500万円)
配偶者 + 子2人2分の1配偶者=1/4(1,500万円)/子1人あたり=1/8(750万円)
配偶者 + 子3人2分の1配偶者=1/4(1,500万円)/子1人あたり=1/12(500万円)
子のみ1人2分の1子=1/2(3,000万円)
子のみ2人2分の1子1人あたり=1/4(1,500万円)
子のみ3人2分の1子1人あたり=1/6(1,000万円)
配偶者 + 直系尊属(親2人)2分の1配偶者=1/3(2,000万円)/親1人あたり=1/12(500万円)
直系尊属のみ(親1人)3分の1親=1/3(2,000万円)
直系尊属のみ(親2人)3分の1親1人あたり=1/6(1,000万円)
配偶者 + 兄弟姉妹2人2分の1配偶者=3/8(2,250万円)/兄弟姉妹=なし
兄弟姉妹のみ2人なし遺留分を持つ人がいません
配偶者のみ2分の1配偶者=1/2(3,000万円)

上記は目安です。実際の金額は、遺留分算定基礎財産(生前贈与・遺贈の加算や債務控除)や遺言の内容によって変わります。相続放棄をした人は相続人に数えません(相続税の基礎控除で放棄者を人数に含める扱いとは異なります)。割合の出典: e-Gov法令検索「民法」第1042条第1項・第2項。取得日2026-07-22。

遺留分の計算方法——3つのステップ

遺留分の額は、次の順で考えます。

①基礎財産を求める:遺留分を計算するもとになる財産(遺留分算定基礎財産)は、相続開始時の財産に一定の贈与を加え、債務を差し引いて求めます(民法1043条)。
②総体的遺留分をかける:直系尊属のみなら3分の1、それ以外は2分の1をかけます(1042条1項)。
③法定相続分をかける:さらに各人の法定相続分をかけると、その人の遺留分額になります(1042条2項)。

計算例(基礎財産1億2,000万円・配偶者と子2人)

総体的遺留分=2分の1。配偶者の法定相続分は2分の1なので、配偶者の遺留分は 1/2×1/2=1/4=3,000万円。子の法定相続分は2人で2分の1(1人あたり4分の1)なので、子1人あたりの遺留分は 1/2×1/4=1/8=1,500万円(子2人で合計3,000万円)。遺留分を持つ人の合計は6,000万円です。

このように、構成と基礎財産が分かれば割合と金額の目安は求められます。ただし、基礎財産に加える生前贈与の範囲(相続人への贈与は原則10年、第三者への贈与は原則1年。民法1044条)や不動産などの評価は複雑です。自分のケースの目安を手早く知りたいときは、下の計算機に金額と家族構成を入れてみてください。

計算例の金額は当サイトの検証済み計算エンジンで算出。出典: e-Gov法令検索「民法」第1042条・第1043条・第1044条。取得日2026-07-22。

🧮 あなたの場合の遺留分を計算する → 遺留分の計算機

遺留分が侵害されていたら——時効に注意

遺言や生前贈与によって、自分の遺留分より少ない財産しか受け取れなかった場合、遺留分を持つ相続人は、侵害した相手に対して不足分の金銭の支払を求めることができます。これを遺留分侵害額請求といいます(民法1046条)。2019年7月1日施行の改正で、それまでの「遺留分減殺請求」から金銭の支払を求める権利へと見直されました。

ここで重要なのが時効です。この権利は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年で時効にかかります。また、相続開始を知らなくても、相続開始から10年を過ぎると行使できなくなります(民法1048条)。「知ってから1年」は思いのほか短いため、遺留分を侵されている可能性に気づいたら早めの検討が大切です。

請求の具体的な進め方(誰に、いくらを、どのように請求するか)や、実際に権利を行使すべきかどうかは法律の問題です。手続きの流れや時効については遺留分侵害額請求とは(流れ・時効・生前贈与の扱い)で整理しています。個別の判断は弁護士にご相談ください。

出典: e-Gov法令検索「民法」第1046条・第1048条 / 法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(相続法の改正)について」(施行日2019年7月1日)。取得日2026-07-22。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月22日):

よくある質問

遺留分とは何ですか?
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている、遺産の最低限の取り分のことです。被相続人が遺言や生前贈与で財産を自由に処分しても、遺留分を持つ相続人には最低限の割合が確保されます(民法1042条)。この保障を侵す遺言があっても遺言自体が無効になるわけではなく、遺留分を持つ人は侵された分の金銭の支払を請求できるにとどまります。
遺留分は誰にありますか?兄弟姉妹にもありますか?
遺留分があるのは、配偶者・子(およびその代襲相続人)・直系尊属(父母や祖父母)です。被相続人の兄弟姉妹には遺留分がありません(民法1042条1項は「兄弟姉妹以外の相続人」と定めています)。したがって、相続人が兄弟姉妹だけの場合は、遺言で全財産を他の人に渡しても遺留分の問題は生じません。
遺留分の割合はどのくらいですか?
相続人全体で見た遺留分(総体的遺留分)は、直系尊属だけが相続人のときは遺産の3分の1、それ以外の場合は2分の1です(民法1042条1項)。各相続人が実際に持つ遺留分(個別的遺留分)は、この総体的遺留分に、その人の法定相続分をかけて求めます(同条2項)。たとえば配偶者と子2人なら、配偶者は4分の1、子は1人あたり8分の1です。
遺留分はどう計算しますか?
まず遺留分を計算する基礎となる財産(遺留分算定基礎財産=相続開始時の財産に一定の贈与を加え、債務を差し引いた額。民法1043条)を求めます。次に総体的遺留分の割合(2分の1または3分の1)をかけ、さらに各人の法定相続分をかけると、その人の遺留分額の目安が出ます。基礎財産の確定や贈与の加算範囲は複雑なため、金額はあくまで目安です。
遺留分が侵害されたらどうすればいいですか?
遺言や生前贈与で遺留分より少ない財産しか受け取れなかった場合、遺留分を持つ相続人は、侵害した相手に対して不足分の金銭の支払を求めることができます(遺留分侵害額請求。民法1046条)。この権利は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、または相続開始から10年で時効になります(民法1048条)。権利を行使するかどうかや進め方は法律の問題のため、弁護士にご相談ください。

自分の家族構成と財産額での遺留分の目安は遺留分の計算機で確認できます。遺留分が侵害されているときの請求の流れと時効は遺留分侵害額請求とはで、誰に相談すればよいか迷うときは相続は誰に相談する?(税理士・司法書士・弁護士の違い)で解説しています。相続税がかかりそうかどうかの目安は相続税計算シミュレーターでどうぞ。

本ページは、民法の条文にもとづく、遺留分に関する一般的な情報の解説です。遺留分の割合や金額は、遺留分算定基礎財産(生前贈与・遺贈の加算範囲や評価、債務控除)や遺言・生前贈与の具体的内容によって変わり、表示の金額はあくまで目安です。遺留分が侵害されているかどうかの判断や、遺留分侵害額請求の可否・進め方は個別の事情によって異なります。本サイトは一般的な制度の解説と概算計算であり、個別の法律相談・法律事務の代理には対応していません。具体的な判断は、弁護士など専門家にご相談ください。
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