相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (法務省「相続人申告登記について」の案内に基づく)

相続人申告登記とは?——相続登記の義務を「簡単に」果たすための新しい制度

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に果たすための方法として、2024年(令和6年)4月1日から始まった制度です。「誰が何を相続するか(遺産分割)がまだ決まらない」という場合でも、自分が相続人であることを期限内(3年以内)に法務局へ申し出れば、相続登記の義務を果たしたものとみなされます。この記事では、相続人申告登記とはどんな制度で、どんなときに役立つのか、そして本来の相続登記とは何が違うのかを、法務省の資料にもとづいて整理します。

結論——期限が迫っているのに遺産分割が決まらないとき、単独で義務を果たせる

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。しかし、遺産分割の話し合いがまとまらず、期限までに本来の相続登記ができないこともあります。そんなときに期限内(3年以内)に登記官へ「自分が相続人である」と申し出ることで、相続登記の申請義務を履行したものとみなされるのが相続人申告登記です。特定の相続人が単独で申し出ることができるため、他の相続人の協力を待たずに、まず自分の義務を守れます。

出典: 法務省「相続人申告登記について」(相続登記の義務を履行するための簡易な方法として新設。令和6年4月1日からスタート。期限内(3年以内)に登記官に申し出ることで義務を履行できる。特定の相続人が単独で申し出可能)。取得日2026-07-23。

どんなときに使う?——「遺産分割が決まらない」「期限が迫っている」ケース

相続人申告登記は、相続登記の義務の履行期限が迫っている場合などに、その義務を果たすために利用することが想定されています。たとえば、相続人どうしの話し合いが長引いて誰が不動産を取得するか決まらない、相続人の数が多く連絡や合意に時間がかかる、といったケースです。本来の相続登記(名義変更)には遺産分割の結果や戸籍などの書類がひととおりそろっている必要がありますが、相続人申告登記は「自分が相続人である」ことを申し出るだけで、まずは過料の対象となる状態を避けられます。

出典: 法務省「相続人申告登記について」(相続登記の義務の履行期限が迫っている場合などに利用することが想定される)。取得日2026-07-23。

本来の相続登記との違い——「権利を確定させる登記」ではない

ここが最も大切な注意点です。相続人申告登記は義務を簡易に果たすための手続きであって、誰がその不動産を所有するかという権利関係を確定させる本来の相続登記とは異なります。そのため、次の点に気をつけてください。

項目相続人申告登記本来の相続登記
目的申請義務を簡易に果たす権利(名義)を確定させる
申出・申請できる人特定の相続人が単独で可取得する相続人など
不動産の売却・抵当権設定これだけではできない可能になる
遺産分割成立後成立日から3年以内に別途登記が必要

相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には、あらためて相続登記が必要です。また、相続人申告登記をしたあとに遺産分割が成立したときは、その成立の日から3年以内に、結果に基づく登記を別途申請しなければなりません。遺産分割がされた後の登記義務を、相続人申告登記によって果たすことはできない点に注意しましょう。

出典: 法務省「相続人申告登記について」(売却・抵当権設定の際は相続登記が必要。遺産分割成立後はこれに基づく登記を別途申請する必要があり、その義務を相続人申告登記で履行することはできない)。取得日2026-07-23。

怠るとどうなる?——正当な理由なく期限を過ぎると「10万円以下の過料」

相続登記の義務を、正当な理由がないのに期限内に果たさなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとされています。相続人申告登記は、この過料の対象となる状態を避けるための簡易な受け皿として用意された制度です。遺産分割がまとまらず本来の相続登記がすぐにできないときでも、まずは期限内に相続人申告登記を済ませておけば、義務を履行したものとみなされます。

出典: 法務省「相続人申告登記について」「相続登記の申請義務化についてのよくある質問」(正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の可能性)。取得日2026-07-23。過料は刑事罰ではなく行政上のペナルティです。

手続きは誰がする?——法務局へ、本人または司法書士に依頼して

相続人申告登記の申出は、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。申出は相続人本人が行うこともできますし、登記の専門家である司法書士に依頼して行うこともできます。必要な書類(自分が相続人であることがわかる戸籍など)の集め方や、正確な申出のしかたは、個別の事情によって変わります。本サイトは登記の申請・申出の代行や個別の手続き指導は行っていません。具体的な進め方は、法務局の相談窓口や司法書士にご相談ください。なお、相続では登記(名義変更)のほかに相続税の申告が必要になる場合もあります。財産の総額しだいで申告の要否が変わるため、あわせて確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

相続人申告登記とは何ですか?
相続登記の義務を果たすための簡易な方法として新設された制度で、令和6年(2024年)4月1日から始まりました。自分が登記簿上の所有者の相続人であることなどを、期限内(3年以内)に登記官へ申し出ることで、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。遺産分割の話し合いがまだまとまっていない場合でも利用できます。
相続人申告登記は一人でもできますか?
特定の相続人が単独で申し出ることができます。他の相続人の分も含めて代理で申し出ることも可能ですが、単独で申し出た場合は、申出をした相続人についてのみ相続登記の義務を履行したものとみなされます。ほかの相続人は、それぞれ自分で申し出るか相続登記をする必要があります。
相続人申告登記をすれば相続登記はもうしなくてよいですか?
いいえ。相続人申告登記は義務を簡易に果たすための手続きで、権利関係を確定させる本来の相続登記とは異なります。相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には、あらためて相続登記が必要です。また、その後に遺産分割が成立したときは、成立の日から3年以内に、その結果に基づく登記を別途申請する必要があります。

相続登記の義務化そのもの(いつまで・過料)については相続登記はいつまで?義務化・3年以内・過料10万円、名義変更にかかるお金は相続登記の費用(登録免許税・実費・司法書士報酬)、相続全体の進め方は相続手続きの順番で解説しています。相続税がいくらかかるかは、まず相続税計算シミュレーターで目安を確認しましょう。

本ページは、法務省が公表する「相続人申告登記について」「相続登記の申請義務化」の案内に基づく一般的な制度の解説です。申出の要否・期限の起算日・必要書類・過料や「正当な理由」の判断は個別の事情により異なります。本サイトは登記の申請・申出の代行や個別の法律相談・税務相談には対応していません。相続人申告登記や相続登記の具体的な手続きは法務局・司法書士へ、相続税に関する具体的な判断は税理士・税務署にご相談ください。
相続税計算ナビのトップ(相続税計算)へ