相続税・贈与税が「いくらか」概算でわかる

最終更新: (法務局・国税庁の公表資料にもとづく)

遺産分割協議書の実務Tips——割印・預貯金の書き方・数次相続・代償分割

遺産分割協議書は、いざ書こうとすると「複数ページはどうまとめる?」「預貯金はどう書く?」「うちは相続が重なっている(数次相続)けど?」といった細かいところで手が止まりがちです。この記事では、作成でつまずきやすい割印(契印)・預貯金の書き方・数次相続・代償分割・一人が全て相続する場合の5つを、法務局・国税庁の公表資料で確認できる範囲で整理します。実務の慣行にあたる部分は「一般的とされる」と明示し、税務にかかわる判断は税理士へつなぎます。

結論——形式(契印)・特定の書き方・立場の明記・代償の明記が要点

つまずきやすい実務の要点は、①複数ページは綴じ目に契印(割印)を全員の実印で、②預貯金は金融機関名・支店・口座番号で特定、③数次相続は承継した立場を肩書きで明記(法務局に専用様式あり)、④代償分割は誰が誰にいくら払うかを協議書に明記(記載漏れは贈与とみなされるおそれ)、⑤一人が全て相続する場合も相続人全員の署名・実印が必要、という点に集約されます。

出典: 法務局「不動産登記の申請書様式について」(遺産分割・数次相続の様式)/ 国税庁「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」。取得日2026-07-23。契印・預貯金の記載方法など実務慣行は一般的とされる範囲で記載しています。

1. 割印(契印)の考え方

「割印」と呼ばれることが多いものの、協議書が複数ページになるときに押すのは、正確には契印(けいいん)——ページとページの綴じ目にまたがって押す印です。これは書面が途中で差し替えられていない一体のものであることを示すためのもので、実務上は協議書に押した相続人全員の実印で押すのが一般的とされます。製本テープで綴じた場合は、表紙とテープの境目に押す方法も使われます。記載を訂正するときは、訂正箇所に相続人全員の訂正印(実印)を押す方法が用いられます。

割印・契印の押し方について公的に統一された基準は公表されていないため、上記は一般的な実務の説明です。求められる扱いは提出先(法務局・金融機関など)により異なることがあります。取得日2026-07-23。

2. 預貯金の書き方・分け方

預貯金は、どの口座かを特定できる情報で書くのが基本です。一般的には、金融機関名・支店名・預金の種別(普通/定期など)・口座番号を記載し、その口座を誰が取得するかを明記します。残高は日々変わるため、金額を書き込まずに「当該口座の預貯金全部」のように口座単位で特定する書き方が使われることが多いとされます。

複数の相続人で預貯金を分けるときは、口座ごとに取得者を書き分けるほか、1つの口座をいったん代表者が取得して他の相続人へ分配する形をとることもあります(後者は分配の性質により税務上の扱いが変わり得るため、税理士への確認が安心です)。相続税の申告では、預貯金は相続開始日の残高などをもとに評価するため、残高証明書を金融機関で取得しておくと手続きが進めやすくなります。

預貯金を含む記載例は遺産分割協議書のひな形もあわせてどうぞ。預貯金の記載方法は実務上の一般的な書き方です。分配に伴う税務上の扱いは個別事情により異なるため、税理士・税務署にご確認ください。取得日2026-07-23。

3. 数次相続の協議書

数次相続とは、ある人の相続手続きが終わらないうちに、その相続人が亡くなって次の相続が重なった状態です。たとえば父の相続の遺産分割が済む前に母が亡くなったようなケースが典型です。法務局は、こうした場合に対応した「遺産分割協議(数次相続)」の申請書様式・記載例を公開しています。

協議書では、先に亡くなった方(一次の被相続人)の遺産について、次に亡くなった方の相続人の地位を承継した人が参加します。その際、参加者が「もともとの相続人」なのか「亡くなった相続人の地位を承継した人」なのかが分かるように、立場を示す肩書きを記載する方法が一般的とされます。数次相続は登場人物と権利関係が複雑になりやすいため、登記の専門家である司法書士に相談すると正確さの面で安心です。

出典: 法務局「不動産登記の申請書様式について」(遺産分割協議(数次相続)の申請書様式・記載例)。肩書きの具体的な書き方は記載例に沿った一般的な方法です。取得日2026-07-23。

4. 代償分割の書き方と課税の考え方

代償分割とは、国税庁の説明では「遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもの」です。実家などの分けにくい不動産を1人が取得し、その代わりに他の相続人へ現金(代償金)を支払う、といった形が典型です。

相続税の課税価格は、国税庁の案内では次のように計算します。

国税庁の設例では、評価額4,000万円(時価5,000万円)の土地を取得した相続人が、他の相続人に現金2,000万円を支払った場合、取得した人の課税価格は4,000万円−2,000万円=2,000万円受け取った人の課税価格は2,000万円とされています。

注意: 代償金の支払いが代償分割によるものであることを協議書に明記すること(誰が誰にいくら支払うか)が大切とされます。代償分割である旨が協議書などで明らかでない場合、支払った金銭が贈与とみなされ、贈与税の対象になるおそれがあります。相続税・贈与税の具体的な判断は税理士や税務署にご確認ください。

出典: 国税庁「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」。取得日2026-07-23。金額は国税庁の設例で、実際の課税価格は評価額・代償額により異なります。

5. 一人が全て相続する場合

相続人が複数いても、話し合いで1人が財産を全部取得すると決めることはできます。これは相続人が1人だけのケース(そもそも協議が不要)とは異なり、相続人が複数いるうえで全員が「1人に集約する」ことに合意する形です。したがって、相続人全員の署名・実印での押印と印鑑証明書は必要で、協議書には「◯◯がすべての遺産を取得し、他の相続人は取得しない」旨を記載します。代償金の支払いがない場合はその旨も明確にしておくと、後の解釈のずれを防げます。

なお、1人に集約する分け方でも、相続財産の総額が基礎控除を超えれば相続税の対象になり得ます。取得する人にどのくらいの相続税がかかりそうかは、事前に目安を確認しておくと安心です。

相続人が1人だけのケースや不要になる場面は遺産分割協議書は必要かで扱っています。相続税の目安は相続税計算シミュレーターで確認できます。取得日2026-07-23。

一次情報(出典)

出典(取得日 2026年7月23日):

よくある質問

遺産分割協議書に割印(契印)は必要ですか?
割印や契印について公的に統一された決まりが公表されているわけではありませんが、実務上は、協議書が複数ページになる場合にページの綴じ目へ契印を押し、書面が一体であることを示すのが一般的とされています。契印は、協議書に押した相続人全員の実印で押すのが通例とされます。記載を訂正するときは、訂正箇所に訂正印(実印)を押す方法が用いられます。提出先によって求められる扱いが異なることがあるため、事前に確認しておくと安心です。
遺産分割協議書に預貯金はどう書けばよいですか?
預貯金は、どの口座かを特定できるように書きます。一般的には、金融機関名・支店名・預金の種別(普通・定期など)・口座番号を記載し、誰がその預貯金を取得するかを明記します。残高は日々変動するため、金額を書かずに「当該口座の預貯金全部」といった形で特定する書き方が使われることが多いとされます。複数の口座を分ける場合は、口座ごとに取得者を書き分けます。
数次相続の遺産分割協議書はどう作りますか?
数次相続は、ある人の相続の手続きが終わる前に、その相続人が亡くなって次の相続が重なった状態です。法務局は「遺産分割協議(数次相続)」の専用の申請書様式・記載例を公開しています。協議書では、先に亡くなった方の相続人の地位を承継した人が参加し、その立場が分かるように肩書き(相続人としての立場と、次に亡くなった方の相続人としての立場)を記載する方法が一般的とされます。関係が複雑になりやすいため、司法書士への相談も選択肢です。
代償分割を協議書に書くときの注意点は?
代償分割は、1人が不動産などの現物を取得し、その人が他の相続人に代償として金銭などを支払う分け方です。国税庁の案内では、現物を取得した人の課税価格は現物の価額から支払った代償の価額を差し引いた額、代償を受け取った人の課税価格は受け取った代償の価額とされています。協議書には、代償分割であること(誰が誰にいくら支払うか)を明記することが大切とされ、記載がないと支払った金銭が贈与とみなされるおそれがあります。相続税・贈与税の具体的な判断は税理士や税務署にご確認ください。

書き方の全体像は遺産分割協議書とは・書き方、自分で作る手順は自分で作成する方法、作る必要があるかは遺産分割協議書は必要かもあわせてどうぞ。入力しながら下書きを作りたいときは遺産分割協議書 作成サポートが便利です。相続税がかかりそうかは相続税計算シミュレーターで目安を確認できます。

本ページは、法務局・国税庁が公表する資料にもとづく、遺産分割協議書の実務に関する一般的な解説です。割印・契印や預貯金の記載方法などの実務慣行は一般的とされる範囲で示したもので、求められる扱いは提出先により異なることがあります。代償分割の課税など税務にかかわる判断は個別事情により異なります。本サイトは書類の作成代行や個別の法律相談・税務相談には対応していません。相続人の間で争いがある場合は弁護士、書類の作成・登記は司法書士・行政書士、相続税・贈与税の具体的な判断は税理士・税務署にご相談ください。
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